シグブラ
第25回:雪景色の県境ブラブラ

雪景色の県境ブラブラ

February 10, 2014

「関東平野部でも積雪の恐れ」という天気予報を聞き、雪景色が撮影できるかも、と期待していた。しかし翌朝起きてみるとどこにも白いものが見当たらない。すっかり雪を撮る気満々だったのに肩すかしを食らった感じだ。仕方ないので山の方まで雪を見に行くことにした。

中央自動車道を勝沼で下り、青梅街道を山梨側から奥多摩に抜けていくことにした。昨年何回もワインを飲みに訪れた勝沼の街もうっすらと雪化粧している。ワイナリーに立ち寄りたかったが、グッと我慢をして葡萄畑の街をあとにする。

「国道411号」というサインを辿って標高を稼ぐ。いくつかのヘアピンカーブを過ぎると路面に雪が現れた。路肩には20センチ以上雪が積もっているのが確認できる。街道沿いの渓流はすっかり雪に覆われていて、美しく光って見えた。

富士山がよく見える柳沢峠を過ぎ、山梨県から東京都に突入した。標高は1400メートル程度だが、山々はすっかり雪に埋もれてる。キュッキュッと雪を踏みしめる音が気持ちいい。街道沿いの集落を歩いて撮影して回る。廃屋も多いようだ。

山肌には葉を落とした木々が立ち並ぶ。動物でも歩いていないかと目を凝らしたが見つからなかった。誰もいない山は静寂が支配している。時折吹く強い風が雪を舞い上げて散らしていく。

峠道をどんどんと下っていく。奥多摩の山を登る人たちにはポピュラーなバス停に到着した。このバス停前にある店で食事をしようと思っていたのだが、どうやらお休みのようだ。「そういえば平日だったな」と気付き、再び山を下り始めた。

日が延びてきたが、山と谷に囲まれている集落の落日は早い。山の端に太陽がかかると瞬く間に明るさが消失し気温がグッと下がってくる。指先が悴んできたのでグローブを手につける。

少しクルマを走らせて、まだ太陽の支配下にあるスポットを探す。南斜面の雪は溶けかけているが、北斜面のそれはガチガチに凍り付いていた。空を見ると雲が続々と発生し、天候が悪くなってきているのが確認できた。

雲がかかってしまい、美しい夕焼けは期待できそうもなくなってきた。つらら越しに見える空もどんよりとしてきた。残念だがこのまま奥多摩湖まで下りることにしよう。

奥多摩湖に来たのは久しぶりだ。湖畔を撮り歩くが、他に観光客らしき人は皆無だ。湖ではダムの保守点検をする人々が凍てつく寒さの中、黙々と作業を続けている。その寒い湖畔で夕焼け空を待ったが残念な結果に終わった。春の奥多摩も魅力的なので、また訪れてブラブラしたいなあ、と思いながら家路についた。どうやら週末は都心部も大雪になるようだ。

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