シグブラ
第119回:師走の生駒山ブラブラ

第119回:師走の生駒山ブラブラ

December 20, 2017

大阪の喫茶店でモーニングを注文し、さてどこに行こうかと考える。前の晩は老舗百貨店でのワークショップを終え、関係者とキタからミナミまで夜更けまで飲み歩き、久しぶりに夜の大阪を堪能できた。その余韻が少し残っていて頭がよく回らなかったが、トーストとコーヒーを流し終える頃までには回復した。この街に来るときはたいてい飛行機で来るのだが、着陸のため降下に入った時に目に入る、アンテナだらけの山を見に行くことに決定。SIGMA dp0 Quattro を手に近鉄線にしばし揺られ、乗換駅から日本で一番歴史がある営業用ケーブルカー「近鉄生駒鋼索線」に乗りこむ。朝日を浴びてケーブルカーは急勾配をグイグイと登っていく。乗客はごくわずかだ。アンテナの山「生駒山」に行くには途中で乗り換えが必要で、そこから先は観光に来た母娘と3名だけとなった。山頂には入場無料の遊園地がある。残念ながら冬期休業期間に入っており営業していない。なので無人の遊園地を撮り歩くことができた。快晴の山頂はとても気持ちよく、大阪方面の眺めを見ながらブラブラし、そそり立つアンテナの群れを鑑賞だ。いつも飛行機の窓から見る景色をジックリ観察できて楽しい散策となった。帰りは山腹にある宝山寺に立ち寄ることに。石段と灯籠が美しく、SIGMA dp0 Quattro のシャッターをつい多めに切った。門前の商店や独特の旅館が並ぶ一角を過ぎればケーブルカーの駅である。麓で振り返るといつも見るアンテナの群れが見えた。またブラブラしに来てみたいものである。

日本で一番の歴史を誇る営業用ケーブルカー「近鉄生駒鋼索線」。乗り味はなかなかワイルド。観光だけでなく地元の人にも多く利用されていて、通勤通学の足として活躍しているそうだ。目の前に生駒山が迫る。

山頂にある遊園地は冬期休業中だ。なのでとても静かである。ときおり飛行機が降下態勢に入って頭上を通過していく。そのエンジン音が響くだけだ。

無人の遊園地はどことなくシュールである。遊具が風で揺れる。SIGMA dp0 Quattro の歪みがない描写はクールにその様子を写しとった。

アンテナ方面に向かって SIGMA dp0 Quattro を手にブラブラと歩いていると、遊具のメンテナンスをする人々や、ハイキングやトレイルランを楽しむ人とすれ違った。こちら方面は少しだけ活気を感じられた。ただトイレや自動販売機なども大部分は稼働していないので訪れるときには注意してもらいたい。

これがいつも機内から眺めているアンテナの群れだ。なるほど電話会社やテレビ局などのアンテナだったのか、と施設の銘板を確認して回る。これだけのアンテナと電線が集中しているところはあまりないのでは、と思いながら SIGMA dp0 Quattro のシャッターを切る。

アンテナ群を堪能したあとは宝山寺へと歩を進めた。山頂から下ってくると楽チンである。ズラリと並ぶ石柱の間をリズミカルに下山する。

宝山寺は日本三大聖天のひとつとして知られ、歌や映画に登場したことでも有名だ。寄進の石柱が隙間なく立ち並ぶが、その圧倒的な数と寄進額に驚かされた。きっと年末年始は大勢の人たちで賑わうのであろう。

鳥居と石段を過ぎると、商店や旅館が建ち並ぶエリアに出る。昔ながらの佇まいと、新しめのカフェなどが同居していてなかなか面白い空間であった。大阪からここ奈良までわずかな時間でのショートトリップだったが、半日でさまざまの魅力的なエリアを訪れることができるのが関西の魅力だ。2018年はもっとこちら方面をブラブラしたいものである。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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