シグブラ
第116回:木枯らし吹いた江ノ島ブラブラ

第116回:木枯らし吹いた江ノ島ブラブラ

November 8, 2017

東京で木枯らし1号が吹いた。各地に被害をもたらした台風が去り、日本上空の気圧配置が本格的な冬になりつつあるようだ。こんな日は江ノ島から富士山がよく見えるはず、と小田急線に乗って小一時間揺られることに。そういえば片瀬江ノ島駅は約90年ぶりに改築される予定で、今の姿を撮影できるのはあと僅かな期間のようだ。到着した江ノ島は観光客でごった返していた。風が強いものの、久しぶりの晴天とあって大賑わいである。強力な台風の影響で、枝が落ちていたり漂着物が多かったりと島内の神社や海岸は荒れていたが、元気な島ネコの姿を確認できてホッとした。日が傾くにつれ浜辺に人が集まってきた。日没のショーを見るためである。防波堤から富士を眺める人、浜辺でセルフィーを撮る女子高生など、冬の訪れを思い思いに楽しんでいる様子だった。そんな浜辺をブラブラとしながら、美しい空のグラデーションが刻々と変化していく様子を SIGMA sd Quattro H で撮影することができた。

台風一過の境内は初冬の日射しを浴びて美しかった。長い間雨ばかりだったので、透明感溢れる太陽光がうれしい。風雨に洗われた鳥居が輝いて見えた。SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art はその細かいディテールを克明に写し出す。

江島神社の参道は大賑わいだ。上るのも下るにも大混雑で一苦労した。沿道のお店は商売繁盛のようで何よりである。そういえば久しぶりに旗を持ったガイドが引率する団体観光客を見た。

人混みを避けて脇道に入る。今までの喧噪が嘘だったかのような静けさだ。日の当たらない小道はやや肌寒く、本格的な冬が近づいてきていることを体感した。ネコが小走りに通り過ぎた。

SIGMA sd Quattro や SIGMA sd Quattro H に SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art、SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art の組み合わせは最高である。単焦点レンズ数本分をカバーしながらとても明るく、切れ味鋭くシャープだからである。面白い座り方をするネコの描写もご覧のとおりだ。

日没を浜辺で撮ろうと島から歩き出した。対向車線のバス停では台風で溜まった砂で遊んでいる少女がいた。人目を気にせず黙々と砂の形を足で整えている。何にでも興味を持って楽しめる、子どもの好奇心や遊び心を見習いたいものだ。

そういえば、と先ほど下車した小田急片瀬江ノ島駅に立ち寄る。約90年ぶりに建て替えが決まっており、今の竜宮城のような姿がひょっとしたら見納めになるかもしれないとのこと。そのユニークな姿を SIGMA sd Quattro H でキャプチャーした。新しい駅舎は2020年東京オリンピックに合わせて完成予定とのことだ。

日没までには時間があるので漁港に行ってみた。以前は腕時計をしなかったのだが、常に日の出と日の入り時刻を表示できる Apple Watch は重宝している。自分がいる場所に合わせて、降雨情報や天候とともにすぐに確認できるのがいい。小一時間、釣りを楽しむ人々と景色を SIGMA sd Quattro H で撮影する。斜光が眩しい。

いよいよ日没である。SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art を装着し、雄大な光景を撮影する。誰も何も話すことなく、じっと太陽と富士山を見つめている。聞こえるのは風と波の音だけだ。たなびく雲と空の色合いが実に素晴らしい。伊豆半島に太陽が沈むまで見送った。

浜に下りると女子高生が撮影大会を繰り広げていた。はじめのうちは打ち寄せる波を避けながら撮り合いをしていたが、そのうちローファーのまま波を気にすることなく iPhone でシャッターを切っていた。実に楽しそうであった。

太陽が半島の向こう側に沈み、美しいグラデーションも徐々に力がなくなりつつあった。そろそろ日没ショーもお終いである。デッキではカップルが名残惜しそうに海を見つめている。SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art は、その様子を立体感よく写しとってくれた。さてブラブラと片瀬江ノ島駅に向かうとしよう。改築まであと何回訪れることができるかな、と思いつつ。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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