シグブラ
第111回:北陸の海岸線ブラブラ

第111回:北陸の海岸線ブラブラ

September 1, 2017

空港から最寄りのJR駅にバスで向かう。駅の改札で「青春18きっぷ」にハンコを押してもらい、ホームに入ってきた列車に乗り込んだ。関西の風景を車窓から眺めながら、どこに行こうか考える。とりあえず大阪で長い距離を走る列車に乗り換えて日本海方面に向かうことにした。今回持参したカメラとレンズは前回と全く同じ構成だ。カメラは SIGMA sd Quattro H。レンズは SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM|Art と SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art、そして SIGMA 135mm F1.8 DG HSM|Art である。最近はこの組み合わせが気に入っている。画質と画角と明るさの全てが成立するマッチングなのだ。気がつくと列車は京都を過ぎ、琵琶湖に差しかかるところであった。久しぶりに見る琵琶湖の美しさに目を細める。途中下車したくなるが、ここは我慢して日本海を目指す。こうやって車内から日本の風景を見るのが好きだ。気になった場所は記憶しておき、後日訪ねるようにしている。

列車が敦賀に着く頃にはだいぶ日が傾いていた。アーケードが続く駅前を敦賀湾に向かって早足で進む。工事中の神宮を通り過ぎると、いいタイミングで港に到着した。帰省してきたと思われる家族が桟橋で写真を撮り合っている。その様子を2本のレンズで撮影した。お盆らしい光景である。その後は赤レンガ倉庫を撮影して、恐竜の街・福井に移動して安宿に泊まった。

翌日はえちぜん鉄道に乗って三国の海へ。夏の海だというのにほどよい混雑具合の海水浴場がいい感じである。海の水はやや冷ためで波がパワフルであった。ここから海岸線を歩いて東尋坊を目指す。朝のうちはどんよりした天気だったが、歩を進めるにつれ青空が顔を出し、強烈な日射しになってきた。すると多くの人がイメージする日本海とは違う、まるで南国のような美しいブルーの海が目の前に拡がった。爽やかな海風を感じながらトレイルを東尋坊に向けて歩いた。実に快適である。奇岩が立ち並ぶ海岸線を抜けると、大勢の観光客が崖の下をのぞき込む場所に出た。そう、東尋坊である。自殺の名所として知られる場所だが、観光客がごった返す様子を見ているとそれを感じない。空と海の青さもあってリゾート地のような印象だ。さて、SIGMA sd Quattro H でエリア一帯をブラブラと撮影するとしようか。

夕刻の敦賀湾。光と風が優しい。整備されたボードウォークを SIGMA sd Quattro H を提げてブラブラと撮り歩く。絶妙な色再現が記憶をリアルに蘇らせてくれる。

桟橋では家族連れが写真を撮り合っていた。その様子を沈みかけている太陽と一緒にキャプチャー。まるでポジフィルムをライトボックスで覗いているかのような光のヌケ感が心地よい。

今回もプライムレンズは SIGMA 135mm F1.8 DG HSM|Art をチョイスした。適度な焦点距離がスナップショットにピッタリなのと、コントラストの高いシャープな描写が気に入っているからだ。ファームアップをした SIGMA sd Quattro H で使うと実に快適。外せない一本である。

海水浴場はちょうどいい混み具合だった。三世代で海に遊びに来ている家族が多く、どことなくのんびりした雰囲気がこれまたいい感じである。SIGMA Photo Pro でモノクロームに仕上げた。

海水浴場から海沿いに歩く。防波堤では釣りを楽しむ人々が多数。投げ釣りとサビキでの五目釣りのようであった。「久しく釣りをしていないな」と思いながら、その様子を SIGMA 135mm F1.8 DG HSM|Art で切り取った。

磯に出たところで急に太陽が雲間から顔を出した。どんよりとしていた海は明るく青く光り輝き、日本海の一般的なイメージとは異なる様を見せてくれた。ここからのトレイルはまるで南の島のハイキングのようになった。ところどころにあるタイドプールでは、子どもたちが生き物観察に夢中だ。

東尋坊はまるで湘南・江ノ島のような人出であった。観光船はひっきりなしに行き交い、人々は断崖絶壁を覗こうと列を作っていた。人々が集まるのはよく分かる。ここの眺めが特別だからだ。

ここは飛び込みの名所として有名だが、最近はドローンによる監視を始めたようだ。岩場に集う人々を SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art で狙ったが、一瞬レミングスの群れに見えた。この辺りはなかなか撮り甲斐がありそうなので、もう少しブラブラと撮影していこう、と崖っぷちで海風を受けながら思った。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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