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第110回:真夏の熊本ブラブラ

第110回:真夏の熊本ブラブラ

August 10, 2017

久しぶりに熊本に行ってきた。約1年半前に自動車メーカーの撮影で訪れた以来である。その時は特別な許可をいただき、熊本城内に車両を入れて昼夜撮影をしたり、県内のフォトジェニックな場所でロケをしたことを思い出しながら、空港からバスで市内に向かった。路面電車が走るメインの通りでバスを降りるとムワッとした熱波が身を包んだ。この暑さは東京の比ではない。とたんに噴き出した汗を拭いながらふと目を上げると、震災で修復中の熊本城が目に入った。前回のロケが終了した直後に地震がこの地を襲ったのだった。それ以来熊本のことが気になっていたが、今回ようやく訪れることができた。

今回のカメラは SIGMA sd Quattro H。レンズは DG と DC の混成軍だ。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM|Art と SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art のハイスピードズームレンズ2本と、SIGMA 135mm F1.8 DG HSM|Art のプライムレンズにした。どのレンズも開放からシャープで、 Foveon センサーとの相性は抜群。やや重量はあるが35mm換算約24mm相当から175mm相当まで、少し間があくもののほぼカバーできる使いやすい構成だ。これならば久しぶりの熊本をしっかりと記録できるはずである。

熊本城の被害は想像以上でショックを受けた。ひび割れた天守閣や崩れた城壁はその時の揺れの大きさを物語っている。くまなく見学したが、「こんなに壊れてしまって・・・」という印象と「よく完全に壊れずに持ちこたえてくれた」という気持ちが交錯した。立ち入れる場所も制限されていて、ロケで使わせていただいた部分は近寄ることさえもできなかった。現在修復作業の真っ最中だが、その様子を SIGMA sd Quattro H で記録していく。滞在中は熊本にお金をできるだけ落として、少しでも修復の力になれればいいなと思いつつ、シャッターを切っていった。

修復作業が行われている熊本城をバックに走る路面電車。熊本の暑さはものすごく、遠くが揺らいで見えるほどだ。震災の影響か観光客も心なしか少なく感じた。

崩れた城壁の周囲にはナンバーが振られた石材が並べられている。このナンバーは地震で石垣が崩れる前に、石材がどう積み重ねられていたかわかるようになっているという。今はこの仮置き場で修復される時をじっと待っている。

SIGMA 135mm F1.8 DG HSM|Art で修復中の小天守を撮った。鯱2つが傾きながらもとどまっている様子がよく分かる。工事用のシートは透けている特殊なものが使われていて、市内から天守閣が見られるように配慮されているという。

戌亥櫓は足元の石垣が大きく崩れていて、微妙なバランスで立っているように見えた。修復には莫大な費用と、歴史的建造物だけに特殊な技術が要求されるという。時間も相当必要だろう。

城を一周歩くと汗だくになった。大きな木の陰でしばし休憩したが、蝉の声があまり聞こえない。抜け殻はたくさん発見したが、うるさいほど鳴いていないのだ。なんだか静かである。鳴かないメスが多いのだろうか。

城とその周辺をブラブラして街の中心部に戻ってきた。日が傾いてきたので僅かだが気温が下がり過ごしやすくなってきた。SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art で街中のスナップを開始。路面電車が走る街は、電車とクルマ、そして人が交差するのでドラマチックかつフォトジェニックだ。暗くなるまで撮影をし熊本ラーメンを食した。

熊本の夜は馬肉やラーメンなどを堪能し舌鼓を打った。ほろ酔いで訪れたバーのマスターとの話も楽しく大いに盛り上がり、熊本への理解が深まったように思う。翌日は偶然ネットで発見した企画列車に乗ることに。iPhone アプリで前日に予約とチケット購入を済ませ、熊本から三角まで「特急 A列車で行こう」に乗車。「16世紀の天草に伝わった南蛮文化」がテーマの列車だそうだ。

ジャズが流れる車内にはバーカウンターがあり、オリジナルのアルコールドリンクなどが売られていると聞いては飲まざるを得ない。撮影もそこそこにドリンクを買い求め、ステンドグラスの美しい車両から、御輿来海岸の景色を楽しんだ。ドリンクがなくなる頃にちょうど終着駅の三角に到着。エアコンの効いた車内からホームに下りるともの凄い暑さ!この夏に体感した暑さナンバーワン間違いなしであった。

普段からなのか暑いからなのか、人が全く歩いていない海沿いの街をブラブラする。ずっと歩いていると命の危険を感じるほどの「熱」が空と地面から伝わってきた。Foveon物件をいくつか撮ったら次の列車で熊本に戻ることにしよう。まだ市内もブラブラしたいし、何よりも美味しいものを食べるのと、冷た〜いビールが飲みたくなったからである(笑)


三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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