シグブラ
第15回:またまた18きっぷで甲州~奥三河ブラブラ

またまた18きっぷで甲州~奥三河ブラブラ

August 30, 2013

気がついたら再び鉄路の人になっていた。乗り降り自由な"中年18きっぷ"は行き先を決めないブラブラ撮影にピッタリだからだ。夏休み本番とあって、前回までの様相と異なり車内は大きな荷物を抱えた人たちで賑わう。SD1 Merrillに高倍率ズーム1本だけ持ち、各駅停車でまずは甲州に向かった。

甲府駅で中央本線を下車。つい先頃気温40度を記録したこの街は本当に暑い。太陽光線が重く感じるほどである。たまらず高原にあるワイナリーへと避難。しかしここも暑かった!葡萄畑からぼんやりと霞む甲府の街を撮影し、ワインの試飲を楽しむ。地下にあるワイン貯蔵庫だけは、天然のクーラーが効いていて涼しく快適だった。
ほろ酔いで再び中央本線に。気がつくと日が傾き、そろそろ今晩の宿を決めなければいけない時間になってきた。iPhoneでいろいろと検索をして宿を予約し終えると、列車は諏訪湖を通り過ぎるところであった。

朝4時少し前に駒ヶ根の宿で目を覚まし、駅前ターミナルから5時発のバスに乗って千畳敷カールに向かう。ワインディングロードを路線バスで抜け、ロープウェイに乗り換えだ。日本最高所駅となる終点に降り立つと目の前にドーンと千畳敷カールのパノラマが拡がった。

標高2500メートル越えのこの地は下界に較べるとやはり涼しい。とはいっても猛暑のこの夏は例年より気温が高めだそうだ。トレイルランニングシューズを履いて観光ルートをハイキングし、高山植物と独特の景観をカメラに収めた。

分岐で登山コースに進む大きなバックパックを背負った人たちと別れ、大きな岩がゴロゴロと転がる観光ルートを歩く。そこから雲の流れが急に早くなり、強い風が時折吹き付けるようになった。午後からどうやら天気が崩れそうな気配だ。山肌のお花畑では高山植物が風で波打っている。そろそろ灼熱の下界に戻る頃合いのようだ。

稜線に雲が出始めた千畳敷カールを後にする。素晴らしい光景を見せてくれる紅葉シーズンに再訪したい。つかの間の清涼感を味わってロープウェイに乗り込んだ。

駒ヶ根駅から飯田線に乗って天竜川沿いを南下する。キラリと光る水面を見たら川で水遊びがしたくなった。天竜峡駅で下車して川沿いの散策を楽しむ。さぞ川の水は冷たいだろうと思って手を入れると水は生温かった。

ローカル線の旅は楽しい。ゆっくりと車窓の景色を楽しみ、ゆっくりと列車の到着を待ち、ゆっくりと日本を進んでいく。ゆっくりとブラブラすることで、いろいろなものが見えてくる。

と、ゆっくりと移動しながらも旅の終わりはやってくる。太平洋側に出て大きな街に着いたらその気分は霧散してしまうだろう。運転席後ろでは少年が食い入るように列車の行く手を見つめている。その姿は夏の終わりを惜しんでいるようにも見えた。私はそれを撮りながら、次のブラブラはどこにしようかと考えた。だんだんと日が短くなり、写真撮れる時間もどんどん短くなるんだなあと思いつつ。


三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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