シグブラ
第12回:さがみ縦貫道路周辺ブラブラ

さがみ縦貫道路周辺ブラブラ

July 12, 2013

新しい道路が開通した。今まで何もなかった川沿いに巨大な構造物が現れた。それは海から山に向かって続いている。大きくうねるその様はまるで大蛇のようにも見える。この新しい道はまだ完全に他の高速道路とは繋がっていないが、周囲の環境と交通の流れを大きく変化させている。

相模川にあるオフロードコースから堤防状の道に上がる。視線の先には河岸段丘上に建ち並ぶ民家。手前の水田との間に真新しい高速道路が走っている。雨雲が上空を覆い暗くなるたびに、カエルがゲコゲコと鳴き出す。

丘を突っ切って中津川にやってきた。この辺りまで来ると清流の雰囲気を感じられる。長い鮎竿を持った釣り師が立ち込んでいる。その横にはフライフィッシャーがラインを操っているのが見えた。ノスタルジックな橋の上から川面を見ながら歩を進めた。

金網越しに延々とソーラーパネルが設置されていた。かなりの広大さである。愛川ソーラーパーク“さんてらすTOBISHIMA(とびしま)”というらしい。いわゆるメガソーラーだ。あいにくの天気だったがある程度の発電はできているようだ。案内板にある発電量の数字が光っていた。周囲の緑との違和感というかコントラストがシュールに感じる。

休日ならば多くの観光客で賑わう宮ヶ瀬湖に着いた。平日の夕方だけあって無人である。ダムの天端から川面までを結ぶインクラインの最終便に乗り込んだ。もちろん貸し切りだ。斜めにゆっくりと300メートルあまりを滑り降りる。

川面から見上げるダムは巨大だ。コンクリート壁が覆い被さってくるような感じを受ける。とてつもない水圧に耐えているその巨体は頼もしい。もし決壊したら下流域はとんでもないことになるだろう。

宮ヶ瀬ダム上空には無数のツバメが舞っている。彼らは猛スピードで飛びながら小さい昆虫類を補食していた。その上を猛禽類が円を描きながら悠々と飛んでいた。そろそろ閉門の時間だ。急いでダム上まで戻らなくてはならない。

湖沿いのドライブインに入る。閑散としていたが、夏の行楽シーズンに向けて土産物店などが準備に追われていた。狭くはない駐車スペースもあっという間に満車になるくらい混雑するという。その様子を見つめていたネコを撮りながら「次こそは涼しい高原をブラブラしたいなあ」と思ったのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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