第214回:黄葉のシエラネバダ山脈を越える
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第214回:黄葉のシエラネバダ山脈を越える

秋晴れの日、黄色いアスペンの森が広がるモニター峠(標高2,534 m)を西から東へ越える。レイクタホの南東、シエラネバダ山脈にあるこの峠は、例年11月下旬〜4月上旬の間雪で閉ざされる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F10 | 焦点距離:133mm

毎年10月に入るとすぐにシエラネバダ山脈の東側であるイースタン・シエラへ黄葉を撮りに訪れていたが、今年はその時期を逃していた。10月中旬、カリフォルニアの州都であるサクラメントの北に滞在していた私は、「レイクタホ南東のホープバレーの黄葉が見頃」との情報を得たので、シエラネバダ山脈を西から東へ越えてLAに戻ることにした。朝の4時にスタートし西から東へ走り、情報で黄葉が見頃と書かれていたホープバレーに来ると摂氏マイナス5度まで冷え込んでいた。周辺には黄葉はあまり見られず、走って来たカーソン・パス・ハイウェイをそのまま走ると高台に出た。東の山を見ると日の出が迫り手前に湖が見えたので、そこで待機して日の出を迎えた。周辺の知識なしに上って来たカーソン峠だったが後日調べてみると、ゴールドラッシュの時代には重要な峠だったことが分かった。そして私が行くカリフォルニアの行く先々で出会うPCT(パシフィック・コースト・トレイル)もこの峠でカーソン・パス・ハイウェイの一部を歩く設定になっていたので知らずにPCTに遭遇していたのだった。

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標高2,613mのカーソン峠(Carson Pass)付近が日の出に染まる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:39mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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冷え込んだカーソン峠に朝陽が差し込んできた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ホープバレー付近の黄葉を見てシエラネバダ山脈を越えるには、日の出を迎えたカーソン峠から来た道を引き返し東へ行くのが順当だった。しかし、私はカーソン・パス・ハイウェイをさらに先へ走り、気がつくと峠から40kmほど森の中を西へ走りイースタン・シエラへ行く道からかなり離れてしまっていた。透き通った空気の中を何も考えず進んでいるとよく起こることで、時間とガソリン代の無駄遣いを少し後悔して引き返しはじめたが、その御蔭で森の中にあったレストランで温かいコーヒーにありつけた。そして、そのレストランで地元の人と少し会話をした後、気ままに旅を楽しもうと思い直した。

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標高2,613mのカーソン峠(Carson Pass)付近で日の出を迎える。手前に見える湖はレッド・レイク。

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カーソン峠の少し東に位置するケープルズ・レイクでも朝陽を浴びた。山の高さで太陽が出る時間が少しずれ、2箇所で日の出を迎えた気がした。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/2000 秒 | 絞り値:F20 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ケープルズ・レイクの南西に位置するシルバー・レイク湖岸。透き通るような空気感に身も心も引き締まる朝だった。

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強い生命力を感じたシルバー・レイク湖岸の松の木。

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店先の紅葉している木に惹かれ立ち寄ってコーヒーを買ったレストラン。早朝だったが店には地元の人が集まり独り旅の私を温かく迎えてくれた。

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目的地だったホープバレーに戻り、そのままイースタン・シエラを越えるべく東へ向かった。期待した黄葉は日の出を迎えたカーソン峠から15kmほど東へ走った辺りに来ると所々に見られた。中でも標高2,534mのモニター峠付近は黄葉したアスペンが美しく、黄色い森の中にしばらく浸った。車道からさほど離れていない黄葉したアスペンの森へ訪れる人の姿はなく、光に満たされた黄色い森の中に独りでいると光の一部になった気がする体験は貴重なものだった。

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紅葉したカエデが農家の壁を赤く染める。

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もう少ししたら雪で覆われる牧場。

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黄葉と太陽光が反射するクリークは正に秋晴れの日の光景だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:108mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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冬季は積雪で通行止めとなるクリーク沿いを走るアスペン・ステーツ・ハイウェイ。

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青空が映り込むヒーナン・レイク付近も黄葉がピークだった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F10 | 焦点距離:76mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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光で満たされている明るいアスペンの森へ独りで入る。

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車が通れる道も発見したがこの先は行き止まりだった。

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陽光のお陰で輝く黄葉したアスペンの葉。

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黄葉したアスペンの森が点在していたシエラネバダ山脈。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:108mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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幾つかの峠を経て雄大なシエラネバダ山脈を西から東へ越える。

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シエラネバダ山脈の東側に下りて来た辺りの風景。

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完璧な秋晴れの空の下、私の好きなハイウエイ395号へ無事に入り、イースタン・シエラの山々を右手に見ながら南へ下った。今年は訪れるが遅れ、黄葉は遅いと思っていたイースタン・シエラにまだ黄葉が残っていた。以前から気に入っていたマギー・クリーク沿いにあるキャンプ場周辺のアスペンもまだ見頃だったが、山火事で焼け焦げていた部分があった。峠を越えてから200kmほど南下すると強い西日が当たり、車の温度計は摂氏28度を指した。早朝のマイナス5度から実に33度の温度差を同じ日に体験し、さすがに体調がおかしくなりそうだった。

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シエラネバダ山脈を越えハイウエイ395号に入り、ウエスト・ウォーカー・リバー沿いを太陽に向かって南下する。

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シエラネバダ山脈を越えハイウエイ395号を85kmほど南下した辺りの標高2,482mのコンウェイ・サミット付近からイースタン・シエラを望む。二つのピークからなるダンダーバーグ・ピークの高い方は標高3,772m。

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標高2,316mのキャンプ場は山火事のため焼け焦げ、サイトの半分以上が使えない状態だった。カリフォルニアの山火事被害は本当に深刻だ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:44mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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西日が当たる暑い午後となった。黄葉し始めた木の葉は色づく前に落ちてしまうのだろうか。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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峠を越えて来たシエラネバダ山脈の朝と全く違う暑い午後となった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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日没まで時間があったがシエラネバダ山脈の影が伸びて辺りは暗くなった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.0 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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峠を越えてハイウエイ395号を340kmほど南下した辺りまで来ると山陰で足元が暗くなってきたが、日没まで時間があったので東へ向かい旅を続けることも考えた。しかし、冷え込んだ峠から暑い南へ移動した私は疲労もありそこからLAへ戻ることにした。自宅でテイクアウトをしたチャイニーズフードを摘みビールを飲んでいると、脳裏に焼き付いていた黄色いアスペンの森が目の前に広がった。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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