第209回:ユタ州バイセンテニアル・ハイウェイ(UTAH,BICENTENNIAL HIGHWAY)をドライブする
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第209回:ユタ州バイセンテニアル・ハイウェイ(UTAH,BICENTENNIAL HIGHWAY)をドライブする

ユタ州南東部のタウン、ハンクスビル(Hanksville)から州道24を西へ15分ほど走ると、雲で日差しが遮られ黒く見えるビュートが現れた。影をつくる雲の流れはとても速く、雄大な土地はドラマチックに変化し続けていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm

ユタ州南東部のハンクスビル(Hanksville)からU.S.ルート191とのジャンクションまでの区間(195km)の州道は、バイセンテニアル・ハイウェイと呼ばれ、景色のいいドライブコースとして知られる。前日の夜、ユタ州南東部で夜を明かした私は、ローカルな道を西へ走りバイセンテニアル・ハイウェイに向かった。

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雲に覆われたまだ薄暗い朝、ユタ南西部のローカルな道で白い十字架が目に留まり車のライトを当てた。アメリカでは時々道端に十字架を見かけるが、大抵はその付近で命を落とした人の慰霊のために建てられたものだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:曇り | シャッター速度:1/10 秒 | 絞り値:F3.5 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:18.85MB

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夜が明けても光は差してこない時間が止まっているような田舎道。迫って来る車の心配も要らず道路の真ん中に立つ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:曇り | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F2.0 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:14.31MB

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家畜に飲ませる水が貯めてあった。水面に大きな空が映り込み、風車の回るガラガラという音が耳に残った。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:曇り | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:13.17MB

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この旅で通らなかったモニュメントバレーが南に霞んで見えた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:516mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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U.S.ルート191からバイセンテニアル・ハイウェイに入り、少し西へ走った辺りに緑色の葉をつけた林が広がり、林に近づいてみるとクリークが見えた。岩や乾いた土地ばかり見て走ってきた私は、水の流れに誘われてクリークまで歩いた。赤い土の間を流れるクリークに到達すると雲が切れて陽光が差しはじめ、周りの景色がそれまでより輝いて見え、寝不足気味でボーッとしていた頭が一気に目覚めた。陽光を浴び、岩山を切り裂いて通した道路を走り赤い岩の壁に触れ、メサやビュートを身近に感じ大きな岩の上を歩いた。ハイウェイは風光明媚な道路として知られるが、この日走る車は非常に少なく立ち寄る先々でもほとんど人には会わなかった。ハイウェイ沿いには先住民族の住居跡が点在し、昔の人の姿をイメージしながら大きな風景を満喫した。

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赤い土に流れる水の量はけっして多くはなかったが、心が洗われた名もないクリーク。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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崖に残されたバトラー・ウォッシュ・ルーイン(Butler Wash Ruin)は、1200年頃、プエブロ族の先祖であるアナサジによりつくられた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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バイセンテニアル・ハイウェイの路肩に車を停め、赤い岩の壁に素手で触れる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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テーブル状の台地であるメサがさらに侵食が進み孤立した丘をビュートと呼ぶそうなので、これもビュートと呼んでいいのだろう。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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走る車が少なかったバイセンテニアル・ハイウェイ。先を急がずのんびりと走った。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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溝が続いていたので見下ろしてみると、土は湿っていたが水のないドライクリークだった。下りて探索したかったが、強烈な日差しに諦めた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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閉まっていたモーテル周辺の景色は素晴らしかった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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1800年代後半から1900年代初頭にかけこの周辺で有名だった探鉱者のキャス・ハイツ(Cass Hite)に因むハイツまで走ってコロラド川を渡ると雄大な景色はどこまでも続いているように思えた。目の前に広がる雄大な風景を眺めていると、大地に溶け込んでゆき地球のエネルギーを吸収しているような感じがした。パウエル湖の最北端であるハイツにはコンクリートのボートランディングがあり、そこに立つと強烈な日差しの照り返しで汗が吹き出した。水が干上がったボートランディングからはボートを出すのは不可能に見え、強風が吹いて来たら砂だらけになる覚悟が必要なキャンプ場に人影はなく、ただ壮大な風景が広がっていた。ハイウェイは、コロラド川に掛かるHite Crossing Bridgeを渡って北上すると急カーブを描き南下してハイツの対岸に出て、そこから見晴台(Hite Overlook)からハイツ周辺の地形がよく見渡せた。Hite Crossing Bridge からHite Overlookまでの約10.5km間は景色も素晴らしく、ハイウェイから簡単に入れるダート道に車を停め、誰もいない岩の上を自由気ままに歩き回ったのは爽快だった。

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強烈な陽光が眩しいパウエル湖の最北端になるハイツ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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かつて小さな集落があったハイツからハイウェイに戻る道。赤いビュートが聳え立っていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:48mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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Hite Crossing Bridgeを渡り、コロラド川を見下ろす。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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遠くのメサやビュートを岩の台地から眺める。コロラド川に注ぐ川沿いには草木が見られた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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Hite Overlookからの眺め。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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Hite Overlookで壮大な景色を見渡した後、ハンクスビルまで一気に走った。バイセンテニアル・ハイウェイのドライブはここで終わりだが、そこから州道24を西へ走り少しだけキャピトル・リーフ国立公園(Capitol Reef National Park)内に入った。太陽が傾き始めると風景はさらにドラマチックになり、光と影の世界になった世界はどこを見ても絵になった。

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切り裂いたような断崖絶壁はいくら眺めていても飽きない。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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雨が降ると湿地帯になるプラヤのような土地を走ってみた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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断崖絶壁を身近に感じながら走る。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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正に光と影の世界だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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夕方になり赤い土地がさらに赤みを帯びる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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周囲の風景に溶け込んでいた岩山の影に立っていた木彫りの像。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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ペイントしたような山肌と樹木。夜を越すには良さそうな場所だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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キャピトル・リーフ国立公園に入り、フレモント川(Fremont River)沿いを西へ走る。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:33mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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私はこの日は東から西へ走ったが、バイセンテニアル・ハイウェイはU.S.ルート191とのジャンクションから7km北のブランディング(Blanding)まで含めることもあるようなので、西から走ってブランディングで宿を取るのもいいだろう。いずれにしてもバイセンテニアル・ハイウェイは、先を急がずゆっくりと走り好きな場所に停まる気ままな旅がしたい人にはお勧めだ。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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