第208回:ホーヴェンウィープ・ナショナルモニュメント(Hovenweep National Monument)へ
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第208回:ホーヴェンウィープ・ナショナルモニュメント(Hovenweep National Monument)へ

ユタ州南東部、コロラド州との州境に先住民族の住居が残された谷があり、Hovenweep National Monumentに指定されている。Hovenweepとは、パイユート族(Paiute)とユト族(Ute)の言葉で「荒廃した谷」という意味だ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:43mm

7月の終わり、夏休みで混雑する観光地を避け、のんびりとその土地に浸りたかった私は、ロサンゼルスからユタ州南東部に位置するホーヴェンウィープ・ナショナルモニュメントへ向かった。午後3時半にロサンゼルスを出て、州間高速道路40号線(I-40)をひたすら東へ走る。アリゾナ州に入ってすぐにガソリンスタンドに立ち寄り車から外に出ると、ヘアドライヤーから吹き出てきたような熱風が流れ、温度計を見ると46℃を指していた。給油をすませた後、I-40をさらに東へ走り、夜の8時過ぎにフリーウェイを下りて数台のトラックが停まるフリーウェイの入り口付近で椅子を後ろに倒し車内で目を閉じて休んだ。標高が少し高い場所だったのでエンジンを切りクーラーなしで仮眠が取れた。日が昇る前にI-40をさらに東へ行き、給油のため立ち寄った標高2,106mのフラッグスタッフの朝は少し肌寒かった。フラッグスタッフからは州道89、160を東へ走り、191を北上しユタ州に入った。

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フラッグスタッフから州道89を北上。広大なコロラド高原で朝陽を浴びた馬たちが迎えてくれた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:57mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:25.30MB

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どこまでも立ち並ぶ電信柱に、広大なコロラド高原に来たなと実感する。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:16.23MB

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閉まった店先のバスケットゴールに朝陽が当たる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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早朝の道沿いの土産屋に人影はなかった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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色鮮やかな土産屋。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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東へ行くところを間違えて北上した州道89号沿いで見かけた土産屋。壁の絵の色がなかったのでモノクロにした。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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反対側のブリキの壁には色鮮やかな絵があった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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まだ売り物が並ばない土産屋。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ユタ州に入りブラフ(Bluff)というタウンに来ると、開拓時代の馬車等が復元されているBLUFF FORT HISTORIC SITEに立ち寄った。ここは19世紀の終わり、モルモン教徒の先駆者がユタ州南西部とユタ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコの州境であるフォー・コーナーズ周辺に馬車が通れる道を開拓した時に最初の拠点となった場所だ。

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西部劇に登場しそうな風景に車を停める。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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復元された当時のキャビンに吊り下げられたランブにフォーカスする。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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強烈な太陽光が直撃していたが、帆の質感がしっかりと写せた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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当時の道具は木と鉄の組み合わせが主流だった。カミソリマクロで撮影すると一粒の砂まで写っていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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印象的だったヒストリックサイトのフェンス。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ブラフからはホーヴェンウィープ・ナショナルモニュメントへ行く州道262を見逃し、州道191を周辺で一番大きなタウンのブランディングまで北上してしまった。折角なのでビジターセンターに立ち寄り、そこで働く男性と少し話をし、私が日本人だと告げると彼の娘が去年日本のディズニーランドでダンサーとして働いたと言った。ブランディングから来た道を引き返すと、空に灰色の雲が広がりにわか雨も降ったが、今度は州道262を見逃さないで東へ約50km走りナショナルモニュメントへ無事到達できた。

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州道191沿いで見かけた牧場。BOKEH-MASTERで水が吹き出ている部分にフォーカスし、吹き出る水の向こうにいる馬をぼかした。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F3.5 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:20.17MB

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州道262に入りナショナルモニュメントへ向けて東へ走り始め風車を見かけた。車から出ると砂混じりの突風が襲ってきたので素早くカメラを掴み撮影した。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:15.19MB

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突風に襲われた場所からすぐ近くの牧場の入口。105mmというBOKEH-MASTERの焦点距離は、比較的近くの物を撮る際、望遠レンズのようなボケ味を得られる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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車道を堂々と進む馬たちが私に近づいてきた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:242mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ホーヴェンウィープ・ナショナルモニュメントには午後4時前に到着したが、ビジターセンターは既に閉まりパーキング場には3台の車だけしかなく、夏休みにしては閑散としていた。少し前に降った雨は止んで少し青い空も見えていたが、いつ雷雨が来てもおかしくない空気が漂う中、私はプエブロ族が残した建物があるトレイルを歩いた。

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ビジターセンターからトレイルを歩き始めて最初に出会う建物から谷を望む。少なかった訪問者の姿が向こうに見えた。

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谷の東の縁から西を望む。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:29mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:31.48MB

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谷に突き出した縁に建つTower Pointと名付けられた建物。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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Little Ruin Trail を歩く。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:34mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:23.55MB

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Hovenweep Castle と呼ばれる建物。中に入るのは禁止されている。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:105mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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とても小さな窓は空気孔にも見える。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:35.78MB

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Hovenweep Castleを入れて谷の北から撮影。ここからの眺めが一番いいようだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ホーヴェンウィープでの人の活動は、遊牧民のプエブロ族が食料を求め狩りをするために季節に従い訪問した1万年以上前から見られる。西暦900年頃には、年間を通して人が定着し高台の豊かな土壌に作物を植え収穫し始め、1200年代後半までには2,500人以上が住んでいた。ここに残された住居は、西暦500年から1300年までフォー・コーナーズ周辺に定着していたプエブロ族によって建てられ、そのほとんどは1200年から1300年の間に建てられたものだ。1200年代の終わりにプエブロ族が突然この地から去った理由は明らかにされておらず、様々な形をした石造りの美しい建物が崩れずにまだ残っているのは不思議だ。私は訪問者の少ない谷をしばらく見下ろし、時間に追われず風に吹かれた。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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