第198回:冬のアラバマヒルズ
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第198回:冬のアラバマヒルズ

冬の朝、標高約1,400mのアラバマヒルズに来るとアメリカ本土最高峰のマウント・ホイットニー(Mount Whitney)に朝陽があたり始め、モビアス・アーチ(Mobius Arch)に朝陽が届くまでの僅かな時間がとても長く感じられた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:14mm

冬の朝、カリフォルニア州のオーエンズ・バレーをハイウェイ395号でローンパインまで北上し、ホイットニー・ポータル・ロードをシエラネバダ山脈へ向かって約4.5km走り、ムービー・ロードを北に行き車を停めてアラバマヒルズを歩き出す。以前同じ時季に来た時は、朝の冷え込みが厳しく震えながら日の出を待った記憶があるが、この朝は暖かく手袋もはめず撮影ができた。アラバマヒルズは地質学的にはシエラネバダ山脈の一部に属するが、風化作用によりその外観は山脈上部と大きく異なっている。マウント・ホイットニー付近では、雨水の凍結と解凍、融雪により花崗岩に鋭い裂け目ができた。山より暖かいオーウェンズ・バレーでは、乾燥時に土壌が侵食され巨岩が露出し、水と風が今でもアラバマヒルズを形成し続けている。聳え立つシエラネバダ山脈を背景にした巨岩やアーチは多くの人を魅了し、多くの映画が撮影されてきた。

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日の出前アラバマヒルズに到着した。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:7.52MB

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シエラネバダ山脈に朝陽があたり始める。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:52mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:14.15MB

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アラバマヒルズから見る標高4,418mのアメリカ本土最高峰のマウント・ホイットニー。風化作用によりできた鋭い裂け目がある岩壁が朝陽に染まる。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 × 5424
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モビアス・アーチに温かい朝陽が当たり一日が始まった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/30 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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標高約1,400mのアラバマヒルズは南北に連なるシエラネバダ山脈南部の麓に位置する。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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シエラネバダ山脈を背にしてモビアス・アーチを撮る。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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岩が突き出した様な岩山。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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アラバマヒルズから一旦出て、ホイットニー・ポータル・ロードを山脈へ向かって少し上ってみるとローンパイン・クリーク沿いに生息する木々が焼き焦げていた。カリフォルニアの山火事の凄さを目の当たりにしクリーク沿いで撮影した後、ローンパインの町まで下りてガソリンスタンドでコーヒーを飲み、再びアラバマヒルズに戻った。

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アラバマヒルズ付近にある鉄の彫刻。ローンパインは登山者の宿泊客も多くこの彫刻を見て山に入って行く。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:46mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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この朝唯一見た大きな動物は雌の鹿だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:400mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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クリーク沿いの木々が焼け焦げていた。後方の岩山はアラバマヒルズ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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クリークまで下りてみた。焼き焦げて黒光りしていた木の幹をモノクロームで強調した。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
ファイルサイズ:11.61MB

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クリークの底の赤い土は、周辺を焼き焦がした炎の色が染み込んだように思えた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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ホイットニー・ポータル・ロード沿いに見かけた大きな落書き。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:30.25MB

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青い山脈を背景にしたローンパインの教会。空気は澄んでいた。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:143mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
ファイルサイズ:17.79MB

静かなローンパインの町で小休止後、再びアラバマヒルズに戻るとモビアス・アーチがあるエリアから南へ行ってみた。日の出前から感じでいたが、この日は暖かく初春のような気温になり風もなくアウトドアースポーツには最適な日となった。

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この岩山を背景に多くの映画やテレビコマーシャルが撮影された。巨岩に見られるベージュと黒の斑点は長い間の鉄鉱物の酸化によるものだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
ファイルサイズ:20.49MB

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巨岩はどこまでも続いているように見えた。陽光を浴びた岩の表面が朝より暖かく感じ、モノクロームにして色調は温黒調にした。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:17.38MB

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半袖で巨岩を登るロック・クライマー。雄大なシエラネバダ山脈がいい背景になっていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
ファイルサイズ:19.34MB

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積み上げられた牧草が輝いていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:60mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:18.64MB

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牧場の柵とドアーを繋ぐ大きなヒンジが太陽の光を浴びて力強く見えた。彩度を落とし、古い柵の実際の色合いに近づけた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:150mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:21.97MB

アラバマヒルズから南下し、シエラネバダ山脈南端の標高3,000mにある馬と共に泊まれるキャンプ場に繋がる道を走ってみたが、道がジクザクになって上りはじめた辺りでゲートが閉まり通行止めになっていた。シエラネバダ山脈では雪のため通行止めになる道が多いが、ゲート付近には雪がまったくなくその上の斜面にも雪は見えなかった。マウント・ホイットニー周辺の岩壁にも雪が少なかったが、この冬は降雪量が少ないようだ。

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シエラネバダ山脈南端に続く道(Horseshoe Meadows Road)を上リ始める。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:15.35MB

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通行止めになっていた付近からオーエンズ・バレーを見下ろす。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:39mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:26.51MB

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上から下りて来ると(Horseshoe Meadows Road)がアラバマヒルズまで一直線に伸びていた。向かって来る車に超望遠レンズでフォーカスした。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 500mm F4 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/1250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:500mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:16.92MB

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牧場横にキジを見かけたので、車から下りて素早く撮影してみた。この後私に気がつくと飛んで行ってしまった。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:400mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
ファイルサイズ:17.42MB

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空が雲に覆われて寒々しくなったシエラネバダ山脈の麓。この辺りも4月ぐらいまでは雪に覆われる可能性もある。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:25.33MB

冬のアラバマヒルズの冷え込みは覚悟していたが、この日は手袋無しで日の出を待った。暖かい冬の朝、一番撮りたかったモビアス・アーチに朝陽があたり、周辺に誰も来なかったのはラッキーなことだった。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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