第161回:小さな山のタウン、アイディルワイルド周辺を散策
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第161回:小さな山のタウン、アイディルワイルド周辺を散策

ターキッツ・ロック(Tahquitz Rock),又はリリー・ロック(LilyRock) とも呼ばれ、ロック・クライマーには良く知られている大きな岩が山並みから突き出ている。私は岩の下のタウン、アイディルワイルド(Idyllwild)に宿泊し、周辺を散策した。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:35mm

真夏日、ロサンゼルスのダウンタウンからインターステート・フリーウェイ10を東へ約135㎞走り、フリーウェイを下りてステート・ルート243(Banning-Idyllwild Panoramic Highway)に入ると、気温は摂氏40度近くまで上がっていた。ルート243は曲がりくねりながら南へ上って行き、サンジャシント山脈(San Jacinto Mountains)へ入ると気温が少し落ちてきたのでクーラーを切り、窓を全開にして走った。標高1,650mのアイディルワイルドに到着すると、宿泊先のコテージでチェツクインを済ませベッドの上に寝転んだ。クーラーは設置されていなかったが、鬱蒼とした森の中にあるコテージは過ごしやすかった。小休止した後、来る途中に見かけたフルモアー湖(Lake Fulmor)へ向かった。湖までの約10㎞間、上ってくる対向車に気をつけカーブの多い道をゆっくりと下った。標高1,000mの山中にあるフルモアー湖は、知る人ぞ知るといった感じの小さな湖だが、それぞれの行動を楽しむ人々の声が響き渡っていた。

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ステート・ルート243を少し上った所から北の方を眺める。インターステート・フリーウェイ10とユニオン・パシフィック鉄道が、北のサンバーナディーノ山脈と南のサンジャシント山脈の挟まれたサン・ゴルゴニオパスに霞んで見えた。

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カリフォルニア魚類野生生物局が、春から秋にかけてニジマスを放流するフルモアー湖。北岸からの湖は明るい周囲の景色が映り込み、絵画のように見えた。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:20mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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岩から湖に飛び込む若者たち。夏休みに相応しい光景だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:59mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 × 5424
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見る方向が違うと、映り込む周囲の風景が変わり雰囲気も違って見えた湖。

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標高3,000m以上の山々が連なるサンジャシント山脈が、湖付近の展望台から見えた。左手から、Folly Peak(3,206m)、San Jacinto Peak(3,293m)、Jean Peak(3,194m)、Marion Peak(3,149m)。

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湖からコテージに戻るとすぐに夕食の支度を始め、静かな長い夜を楽しんだ。夜は心地よい風が窓から入り込んできてよく眠れたが、明け方は少し寒くなり窓を閉めた。翌朝、ゆっくりとした朝を過ごした後、サンジャシント山脈の西側斜面に突き出たターキッツ・ロックを見上げる登山口へ行ってみた。暑い夏日のせいか、アメリカのロッククライミングの歴史を語るのに欠かせない場所にしては停まる車は少なく、ターキッツ・ロックにクライマーの姿はこの時見なかった。

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標高2,696mのターキッツ・ピーク等へ登るトレイルヘッド付近は、大きな木が生息している。松の木の根っ子の一部分が石を覆っていた。

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乾燥した森の中では少量の水の流れも貴重に思える。

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サンジャシント山脈の西側斜面に突き出したターキッツ・ロック又はリリー・ロックとも呼ばれる岩。その奥のターキッツ・ピークはここからは見えなかった。

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ターキッツ・ロックに大口径望遠レンズを向けたが、ロック・クライマーの姿はなかった。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 120-300mm F2.8 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:193mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 × 5424
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タウンでピザを買いコテージに戻ってランチを食べた後、周辺のガイドブックや雑誌を読んでくつろいだ。夏の疲れが溜まっていた私は、涼しい森の中で愛犬とゆっくりしようと決めていた。午後になって雲が出てくると気温が少し下がったので、日影の少ないタウンの南へ下った。標高1,300m前後の景色がすばらしい丘陵地帯に生える木は、山中から下って来た者にはとても低く見えた。メキシコ国境とカナダ国境間、約4,265㎞を縦走するパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)が、タウンから南に約29㎞下った辺りのステート・ルートを横切っていたので、北へ向かいPCTを少し歩いてみた。

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行き先々でよく出会うパシフィック・クレスト・トレイル。地図がはめ込まれた記念碑の横には水や虫よけスプレーが置いてあった。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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ここにも水が置いてあった。立っているだけでも喉が乾く乾燥した土地では宝物に見える。

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トレイル沿いにガラガラヘビを見つけた。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:150mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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木々の切れ目から北の山を見る。

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サンジャシント山脈南の麓を往復1時間ほど歩いた。背丈が高いもので3mぐらいの木々がつくりだす影がありがたい。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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貯水湖のへメット湖に立ち寄り、タウンへ戻ると灰色の雲が西の空に出てきた。山の天候は変わりやすく、天気予報では「雷を伴う強い雨の可能性あり」と伝え、愛犬は雷音が苦手なので心配したが、夕方から夜にかけて雷どころか一滴の雨も降らなかった。

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サンジャシント山脈の麓にあるヘメット湖。標高1,323mの貯水湖には、ニジマス、ナマズ、ブルーギル、オオクチバスが生息し釣り人が集まる。

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タウンにある動物達の木の彫刻に木々の間から漏れた夕方の光が当る。背景のターキッツ・ロックにまだ強く光が当たり白く見えた。

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山のタウン・アイディルワイルドの夕方は、ターキッツ・ロックの存在感が増す時間帯だ。

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夜中は曇っていたが、翌朝は朝陽が差した。作業小屋には薪が沢山積まれ、背の高い木の影になったコテージの敷地内にはカットされた木の幹が積まれ、木の香りが漂う朝だった。コテージには暖炉が設置されていたが、夏には不要の物だと私は思っていた。しかし、私が泊まったコテージの正面に建つコテージの煙突から煙が上がるのが見えた。寒がりの人に違いないが、寒暖の差が激しいここでは珍しいことではないのかもしれない。

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木漏れ日が差すコテージ。

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朝陽が作業小屋に積まれた薪に当る。

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薪になる前の木が、コテージの敷地内に積まれている。

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森の中に建つタウンホールに木漏れ日が差す。

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森の中に建つ木の香りがするコテージ。

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前日にビジターセンターでパークレンジャーと話し、標高2,696 mのターキッツ・ピークに登る望みを朝まで持っていたが、午後の予定を変える事ができず諦めてタウンを後にした。帰りは南に下って西へ向かったが、北から上って来ると見えなかったターキッツ・ピークとターキッツ・ロックが、周辺の山々と共によく見えた。カウィーア族の神(Tahquish)が山の頂上に住んでいると信じられていたのが、ターキッツ・ピーク(Tahquitz Peak)の名前の由来である。

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右手の高い山がターキッツ・ピーク。その左の下から突き出ている岩がターキッツ・ロック(リリー・ロックとも呼ばれている)。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 × 5424
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下山して行く西の方角を見ると、徐々に草木がなくなり乾いた土地が広がっているのが分かる。

使用機材:SIGMA sd Quattro + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616
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アイディルワイルドには、タウンの近くから登る幾つかのトレイルと、付き出した花崗岩には多くのクライミング・ルートがあり、山のタウンとして知られている。その一方で、多数のギャラリーがあり夏にはジャズの野外ライブも行われ、芸術愛好家にも人気がある。次回は違う時季に訪れ、ターキッツ・ピークまで登りカウィーア族の神様に挨拶をし、ギャラリー巡りもしたい。それには滞在日数を増やす必要がありそうだ。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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