第154回:静岡のお茶畑を訪ねる
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第154回:静岡のお茶畑を訪ねる

静岡県の谷間に広がる茶畑に陽光が差し込む。生命力豊かな緑色が美しく輝き、茶摘みをする人々が休みなく働いていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:100mm

4月最後の日、知人の提案で静岡県静岡市葵区水見色地区に広がるお茶畑を見に行くことになった。東名高速道路を下り、1級河川の藁科川(わらしながわ)に沿って藁科街道を北上、街道沿いにお茶畑が広がりお茶の産地に来たなと感じる。藁科街道からは藁科川に注ぐ水見色川沿いを北東へ上る。谷間のお茶畑全体には朝陽はまだ届かず、周囲の山の隙間から差し込む光がスポットライトとなり光と影の世界が美しい。陽光が当たる明るい緑色のお茶の葉は鮮やかで、澄んだ朝の空気が身に沁みる。

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藁科街道沿に建つ農家の庭先に咲く山茶花が強い朝陽に浮かび上がる。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:68mm
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朝陽が光と影の世界をつくりだす。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:100mm
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谷間のお茶畑に朝陽がスポットライトとなって差し込んでいた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30mm
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朝陽にお茶の葉が浮かび上がる。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/100 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:300mm
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お茶の葉の間に見かけたクモの巣が朝露に光っていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:300mm
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水見色川沿いの谷間を走り上って行くと比較的平坦な土地に出た。この地区の中心的な場所のようで、「ようこそ水見色ヘ 水と緑の里・日本一のお茶どころ」と書かれた大きな地図看板が建っている。お茶の芽を刈り取る機械の音がするので近寄ると、一組の夫婦が休みなくお茶の芽を刈り取っていた。看板が建つ場所から北東ヘ行き止まりまで上り、谷間の水見色を見下ろした。

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老夫婦が茶狩り機で新芽を刈り取っていた。刈り取られた新芽は白い袋にどんどん溜まってゆく。

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谷間にお茶畑が広がり、かなり急な斜面まで続いている。

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狭い車道の行き止まりから鬱蒼とした森の中へ歩き少し登った。谷間のお茶畑に森はどのような役割を果たしているのかわからないが、森の深い緑とお茶畑の明るい緑は見ているだけで自然と癒される。上って来た道をゆっくりと下り、お茶畑に腰を下ろしていたおばあさんと挨拶を交わした後、狭い道を南西へ下り小さな神社に立ち寄る。神社の境内は鎮守の森に囲まれ、明るいお茶畑から来た者の目には非常に暗く感じられ、木漏れ日が眩しい。静かな境内でどこからともなくお茶摘みをするバリカンと呼ばれる機械のエンジン音が聞こえてきた。その音が聞こえてくる方へ向かうと、ゆるやかな斜面のお茶畑では8人ほどで刈り取り作業が行われていた。

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なだらかな斜面に広がるお茶畑。

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出会ったおばあさんと挨拶を交わす。

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木々の隙間から光が差し込み、緑色を背景にした鳥居がシルエットになる。

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皆休みなく懸命に働いていた。

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刈り取ったお茶を入れた袋を一箇所に集め、軽トラックで運ぶ。

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水見色の中心から北へ上って行き一軒のお茶農家を訪ねた。美味しいお茶とつまみを頂き、お茶の話や周辺の山の様子を伺った。お茶農家の奥様から教えてもらった水見色が見渡せる場所へ登ってみた。小さな尾根のようなその場所にはお墓が建てられ、村がよく見下ろせた。

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お茶づくりが大好きなことが表情からにじみ出ていたお茶農家のご主人。

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小さな尾根のような場所にお墓が建てられている。景色がよく天が近いと感じる場所だ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:20mm
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村を見下ろす。水見色は美しいお茶畑の村だ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:8mm
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食料品を売りに来ていた軽トラック。

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紫の花に蝶(アカタテハ)が留まる。

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お茶農家を訪ねた後、水見色がよく見渡せる場所から「高山・市民の森」へ入ってみた。お茶畑の明るい緑を見た後、澄んだ空気を吸い込み、鬱蒼とした深い緑の森を歩く。山道ですれ違った老人が「水芭蕉の花は先週まで咲いていたけどもうないよ」と言った小さな沼まで下った。深い森で森林浴をした後、山から下り、お茶畑を通り抜け宿泊先の静岡市街へ向かった。

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市民の森へ行く途中の小さな谷に広がるお茶畑。緑一色の、目にやさしい光景だった。

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深い森で急な斜面を登る老婆は地元の人のようだった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35mm
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森が開けた所にある沼。花はなかったがここにも美しい緑色があった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:23mm
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水見色川沿いのお茶農家。また訪れたくなる村だった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:100mm
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藁科川沿いで見かけた菖蒲の花。お茶畑を背景に美しく存在していて、見逃すわけにはいかなかった。大口径中望遠ズームレンズで背景をぼかして撮影。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:57mm
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周囲を山に囲まれたお茶畑の美しい緑色が脳裏に焼き付いて離れなかった私は、宿へ入る前の時間を利用し、近くの三保の松原へ立ち寄った。平成25年6月に「富士山世界文化遺産の構成資産」に登録された有名な景勝地は、今回の旅のおまけになった。

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総延長7㎞、約3万本に及ぶ松林はセラピーロードといった感じだ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:100mm
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三保半島の東端に建つ清水灯台は日本最初の鉄筋コンクリート作りの灯台。残念ながら駿河湾の向こうに見える富士山には雲がかかっていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100|ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm
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立春の87日後である八十八夜を閏年のため翌日に控えていたこの日、「茶摘みの歌」の通り、野にも山にも若葉が茂り、水見色には明るい緑色のお茶畑が広がっていた。夏も近づく日本の光景に生命力を感じた。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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