第121回:秋から初冬の葉山・森戸海岸周辺

第121回:秋から初冬の葉山・森戸海岸周辺

夕陽に輝く沖合いに小さな無人島が浮び、相模湾の向こうには箱根方面の山々が連なって見える。夕景が美しい海岸として知られる森戸海岸から名島(菜島)に建つ赤い鳥居にフォーカスして、飛んで来た海鳥が鳥居の後ろを通り過ぎる瞬間にシャッターを押した。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:600mm

10月3週目の週末、日本に一時帰国した私は妹夫婦が暮らす神奈川県三浦郡葉山町に滞在し、帰国した翌朝から森戸海岸周辺を散策した。毎日は見られないという富士山の上の方には、すでに雪が少し見えていた。森戸海岸南端部には相模湾に突き出るような部分があり、そこは森戸大明神の境内となっている。境内の横には低山から流れてきた森戸川が相模湾へ注ぎ、潮が満ちてくると海水が川に入り込んで河口付近の水位が上がる。私は10月から11月の秋晴れの海岸をよく歩いた。

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「葉山町の重要文化財」に指定されている森戸大明神の本殿に朝陽が差し込み、周辺に多く見かける鳶(トビ)が境内の上空を舞う。境内の朝は神聖な空気感が漂っていた。

使用機材:SIGMA dp2 Quattro | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 x 3616 | ファイルサイズ:15.50MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30mm

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ここはもう海とも言えるかもしれないが、引き潮時には森戸川の河口付近は川底の一部も現れる。元暦元年(1184年)、源頼朝が三島明神から飛来し発芽したと伝えられ、樹齢800年の御神木で葉山町天然記念物に指定されている飛柏槇(びびゃくしん)が、海岸に向かうようにして生えている。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:11.49MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:23mm

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背景の富士山が霞み、漁師の持つバケツと吊り下げてある網が夕陽でさらに色鮮やかに見える。オレンジ色に惹かれて構図を決め、のどかな光景を切りとった。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:11.50MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm

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葉山マリーナの側まで歩くと、カリフォルニアに戻った気になる光景に出会う。

使用機材:SIGMA dp1 Quattro | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 x 5424 | ファイルサイズ:20.78MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:19mm

諸事情で日本滞在は大幅に延び、12月に入って雪に覆われた富士山を森戸海岸から何度も見ることができた。森戸海岸の少し南の真名瀬海岸からは、赤い鳥居が立ち龍神が祀られている名島、裕次郎灯台(正式名称は葉山灯台)として知られる高さ約11mの白い灯台、雪を被った富士山、この辺りを語るのに欠かせないポストカードのような光景を撮影することができた。

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森戸海岸の少し南の真名瀬港から北西に沈んでゆく丸い月を見送る。富士山が次第に見えてきて、赤い鳥居が建つ名島の向こうは江ノ島も見える冷え込んだ12月の早朝だった。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.20MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50mm

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奥行きのあまりない真名瀬海岸の砂浜から撮影。朝陽が富士山に当たり始めた時間は裕次郎灯台のライトはまだ光り、赤い鳥居の後方に白い船が通り過ぎるいい光景だった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.77MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/40 秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:192mm

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森戸神社のすぐ南の砂浜から撮影。超望遠ズームレンズを最長に伸ばしシルエットになった海鳥にフォーカスし、通常のレンズでは得られない超望遠効果を活かした絵をセンサーに焼き付ける。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:6.93MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:600mm

12月の中旬を過ぎると朝晩はめっきりと冷え込むようになり、海岸で見かける人々の服装は冬支度になった。冬物を持って来なかった私は、義弟から服を借りて海岸を歩いた。沖合には裕次郎灯台が建ち、森戸神社の裏手には記念碑も建つ。俳優、故石原裕次郎はこの地を愛したそうだが、海に出ない私でもこの海岸に惹かれはじめていた。

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石碑には石原裕次郎を偲ぶ文字が刻まれ、沖合には裕次郎灯台が建つ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.81MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F13 | 焦点距離:35mm

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石原裕次郎記念碑に寄ろうとすると雲に太陽が隠れてしまい、しばらく待ったが太陽は出ず、結局、曇空の下で撮影した。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.97MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/10 秒 | 絞り値:F18 | 焦点距離:135mm

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この日は雲が多くなり、この時までは富士山も上の方だけは辛うじて見えていたが、午後は雲で見えなくなった。寒くなった冬を表現するためモノクロームにして色調は冷黒色をセレクトした。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:6.22MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:300mm

手にして間もない超望遠ズームレンズのハイエンドモデルを持ち、朝と夕方海岸へ出る。この頃になると森戸海岸は自分の庭のような気がしてくるぐらい何度も歩いていたが、新レンズを持つと見慣れてきた風景も少し違った撮り方をしたくなり、それまで何度か見ていた光景が新鮮に見えてきた。

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朝陽が出ない冷え込んだ冬の朝、富士山は微かに見えている。シャッタースピードを下げ、海と海面に浮ぶ釣り船をぶらし、快晴の朝とは違う空気感を表現してみた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:6.65MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:0.8 秒 | 絞り値:F22 | 焦点距離:150mm

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夕陽に輝く穏やかな海面をウィンドサーファーがゆっくりと進み、名島(菜島)に立つ赤い鳥居がシルエットになった光景を超望遠ズームレンズで捉える。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:12.75MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:600mm

この日は東京へ出た。朝、高倍率ズームレンズをカメラボディに付け、森戸海岸を歩き葉山マリーナの手前で海岸から離れて逗子駅まで歩く。東京から逗子駅に戻ったのは午後3時過ぎだった。森戸海岸周辺に住む人はバスを利用するのが普通だと思うが、ビジターの私には歩きが新鮮だ。「日本ヨット発祥の地」と刻まれた碑が建っている葉山港に到着したのはまだ4時前だったが、太陽がかなり低い位置にあり、この滞在中に日が短くなったのだと実感する。海岸を歩き小高くなった森戸大明神の裏手に出ると、神社の公式ページに『源頼朝公が衣笠城に向かう途中、森戸の浜で休憩した際、岩上の松を見て「如何にも珍しき松」と褒めたところ、出迎えの和田義盛は「我等はこれを千貫の値ありとて千貫松と呼びて候」と答えたと言い伝えられています。』とある形のよい松が、陽が沈み赤い西の空にシルエットとなっていた。

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この朝は富士山が鮮明に近くに見え、森戸海岸には欠かせない貸しボートに朝陽が当たりはじめた。ボートを主役にして相模湾と富士山を背景にしたが、何とも贅沢な撮影状況だった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:9.19MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:95mm

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「日本ヨット発祥の地」である葉山港。雄大な富士山が見える日は、やはり嬉しい。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.99MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:80mm

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葉山マリーナの横から海岸へ出る小道からも、波が高いのが分かった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.52MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:135mm

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風も強く波も高い森戸海岸。夕陽が当たる堤防のテキスチャーが気に入り、堤防にフォーカスした。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.66MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:80mm

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寒い夕方、海岸に出る人はいつもより少なめだった。葉山は犬を飼う人が多く、犬の散歩をする人に寒さは関係ないようだ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.96MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:18mm

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千貫松(せんがまつ)越しに富士山が見えるここは、私の一番のお気に入りの場所となった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:4.73MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:42mm

翌朝も快晴だった。天皇誕生日の朝、森戸神社南側には、相模湾の向こうに見える富士山にレンズを向ける人の姿を5、6人見かけた。夕方まで相当な数の人がカメラを持ってここに集まってくると思われた。

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雪化粧した富士山が相模湾の向こうに見える森戸大明神の南側には、記念碑や歌碑が建ち、名もない松もなかなか絵になるように思えた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:11.38MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:80mm

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森戸大明神の裏手は木々に囲まれ、ちょっと隠れた感じがする場所で、空に鳶(トビ)が飛んで舞うのを待って撮影した。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:7.35MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:28mm

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冬になると砂避けのためだと思われる柵が設けられた。材質は何だろうか?手作り感がする柵に強い存在感を感じた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:12.01MB | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:80mm

森戸大明神の公式サイトによると、永暦元年(1160年)、平治の乱に敗れ伊豆に流された源頼朝は、三嶋明神(現在の静岡県・三嶋大社)を深く信仰し源氏の再興を祈願した。治承4年(1180年)、その加護により旗挙げに成功し天下を治めた頼朝は、鎌倉に拠るとすぐさま三嶋明神の分霊を鎌倉に近い葉山に歓請したとのことだ。私は、そんな謂れを知らなくてもこの海岸周辺に十分な魅力を感じた。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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