第86回:サンタクルース島(Santa Cruz Island)へデイハイク
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第86回:サンタクルース島(Santa Cruz Island)へデイハイク

穏やかな海をシーカヤックが列をなして島の港へ戻ってくる。カリフォルニア州のベンチュラ港からフェリーボートでわずか1時間の距離にあるサンタクルース島は、日常生活を忘れるパラダイスアイランドだ。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50 mm

海岸に向かうはずだった私は、山岳地帯に差し掛かってようやく乗り換えるはずのフリーウェイから遠く離れてしまったことに気付いた。海岸に繋がる道をカーナビで見つけ車を飛ばしてベンチュラ港へ到着すると、乗り込むはずであった朝8時発のフェリーは10分前に出港した後だった。幸い私と同じように乗り遅れた数名の乗客と共に、1時間後に出港するフェリーに乗ることが許された。 島でキャンプをする人々が、先に荷物を積み込み、デイトリップの訪問者はキャンパーに続いてフェリーに乗り込む。100人ほどの客を乗せたフェリーは、霧に包まれた港を9時に出港し、沖に出ると海は穏やかだったが、高速で進むフェリーの後方部分の屋根がない席に座る乗客には時より水しぶきがかかり、その度に歓声が上がった。海の上で乗客は皆陽気だった。

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港内をゆっくりと進むフェリーから、防波堤にたくさんいたペリカンを見る。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:105 mm
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港を出ても霧は晴れなかった。

使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:19 mm
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港を離れて1時間、大きなサンタクルーズ島が微かに見えてくると霧の合間に青い空が見え、島の桟橋(Scorpion Anchorage)に近づくと霧は消え、快晴の島が迎えてくれた。桟橋先に着いたフェリーから短いはしごを登って桟橋の上に立ち、そのまま桟橋を歩いて島に上陸する。

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東西に長い島は、長さ約38km、幅約9.5km。島に近づくと霧が消え青い空が見えて海も青くなった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:30 mm
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パークレンジャーが出迎えた島の桟橋。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30 mm
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桟橋に着きフェリーから海面を覗き込む。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30 mm
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7月夏の最中、桟橋付近は、汗ひとつかきそうもない爽やかな海風が吹いていた。パークレンジャーが、島に着いたばかりの人々に帰りのフェリーの時間に遅れず桟橋の戻るようにと呼びかける。ビーチからはシーカヤックが次々と海に出て行き、キャンパーは道具をカートに乗せてキャンプ場に向かう。デイハイクで島に上陸した訪問者は、それぞれ違った方向に消えて行く。

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インストラクターに付いてシーカヤックで海に出る人々。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:244 mm
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キャンプ場から桟橋に向かう女性二人組み。

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農作業の道具と小屋がキャンプ場の手前にあった。

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5年前にこの島を訪問した際は島の内陸部分を歩いたが、この日は予定より1時間遅れて島に着いたので、フェリーが着いた桟橋の港からあまり離れないように海が見下ろせるトレールを歩くことにした。桟橋から数百メートル歩き急な上りを歩いて行くと、桟橋付近が一望出来き、カリフォルニア沿岸も鮮明に見えた。

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フェリーで隣の席に座っていた人々が、私と同じトレールを先に歩いて行った。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30 mm
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桟橋からトレールを登ると、私が乗り過ごしたフェリーで島に来た人々にすれ違う。

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岸壁から海を見下ろす。島に近い海の色は陽が差すと緑色が増して見えた。

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島のトレールに柵はない。トレールから逸れて崖に近づいて歩くとかなり危険な場所もある。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:30 mm
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晴れていても急に霧がかかり始める。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30 mm
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海の向こうに見えるのは、カリフォルニアの沿岸、サンタバーバラ付近だと思われる。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F10.0 | 焦点距離:30 mm
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強い陽射しだったが、海沿いのトレールを歩いても汗をほとんどかかない。地図上では、Potato Harborと記されたポイントまで歩いて行き下を見下ろすと、そこは美しい入り江になっていたが、1艇のシーカヤックが入り江に浮かんでいるだけで港ではなかった。

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草も枯れていた島に目を引く植物。

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カップルがPotato Harborを見下ろし、7月中旬だとは思えない涼しい海風が吹いていた。

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Potato Harborの側の入り江もまた美しく、シーカヤックを漕ぐ人の声が風に乗って聞こえてきた。

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美しい入り江を眺めた後、島の内陸部分の盆地地帯に下りてキャンプ場まで来ると、テント数は思ったより少なく、この島を訪れる人の多くは私と同じ日帰りの訪問者だった。

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海が見下ろせるトレールから分かれ、キャンプ場方向へ向う。

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到着したフェリーから荷物を下ろし、キャンプ場に荷物を運ぶキャンパー。

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雨が降ると島の高い部分から水が流れてくるらしいドライウオッシュに沢山の白い花が咲いていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:105 mm
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朝、フェリーに乗り遅れた私が早めに桟橋まで戻ると、すでに数人が桟橋でフェリーを待っていた。4時に島を出る予定のフェリーは30分前に現れた。キャンプをして日焼けをした人々が、荷物をフェリーに積み込み、デイトリップの訪問者がその後に続く。チケットを見せ、乗客リストと照らし合わせてフェリーに乗り込む。2人の乗客がまだ乗り込んでいないとアナウンスが流れ、出港時間から数分遅れてその2人も現れ、フェリーは島を出た。島から離れ少しすると眠気が襲ってきたが、寒さで居眠りは出来なかった。

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ワイヤーが張られた桟橋の手すり。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 30mm F1.4 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30 mm
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サンタクルーズ島に別れを告げる。

使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:19 mm
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サンタクルース島は、カリフォルニア州沖合の5島から成るチャネル諸島国立公園(Channel Islands National Park)の中で最大の島である。面積245km²の島の76%はThe Nature Conservancyが所有し、残りの24%が国立公園の管轄となっている。 行きのフェリーを乗り過ごし滞在時間は6時間足らずだったが、ベンチュラ港に戻ると島の新鮮な空気と色鮮やかな海の色がしっかりと目に焼きついていた。LAまでの帰りのフリーウェイは行楽帰りの車で渋滞し、普段ならイライラするところだったが、レッド・ウッド・ツリーからつくったカヌーで、先を急がず島と陸の間を行き来したチュマシュ・インディアンを見習い、焦らずゆっくりと走り帰宅することが出来た。機会があれば他の4島も訪れてみたい。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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