シグブラ
第90回:初秋の丘陵ブラブラ

初秋の丘陵ブラブラ

October 11, 2016

午後からSIGMA sd Quattroを持ち小田急線に乗った。久しぶりに渋沢丘陵に向かうのだ。ロマンスカーから各駅停車に乗り換え、丹沢の山々を眺めていると目的の駅に到着した。天気もまずまずで、秋の気配を感じながら里山を歩くことができそうだ。

秦野駅で下車し、駅前を丹沢とは反対方向に歩き始めた。この一帯は日本名水百選になった湧水が至るところに存在する。少し歩けばあちこちに泉を発見することができるだろう。せせらぎの流れる音を聞きながら高くなった空を眺める。もうすっかり秋である。

住宅街を抜けると白笹稲荷神社に着いた。ここは関東三大稲荷の一社として知られている。その存在感のある拝殿をSIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artで狙った。今日はこれとSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artという、F1.8通しのゴールデンコンビでのブラブラだ。

小腹が減った。実は神社脇の階段を上り、狭い路地を抜けしばらく歩くと、とても美味しいうどんを出す店がある。この界隈を訪れる人が必ず寄ると言ってもいいくらいの名店なのだ。これはやはり行かねばならない。オーダーストップの時間が近いので歩を早め、ギリギリに入店できた。歴史を感じさせるレジスターを眺めながらうどんを待つ。

網戸越しに涼しい風を感じていると、お待ちかねのうどんが運ばれてきた。見るからに美味しそうである!さっそく食べることにしよう。こってりとした肉味噌と、こしのあるうどんとの組み合わせは、思わず「美味い!」と口に出してしまうほど。そろそろ冷たいうどんシーズンは終了なので名残惜しむように味わう。

うどんを堪能したあとは運動だ(笑)。店を出ると丘陵へのハイクアップが待っている。耕作地帯を大きくS字を描くようにして高度を稼ぐと、眼下に街並みが拡がり、その向こうに丹沢の表尾根が見えてくる。その眺めを楽しんでいると「震生湖」という道標と富士が現れた。その先を下ると1923年9月1日の関東大震災でできた震生湖に到着する。

地震により丘が崩れ、沢の源流部を堰き止めたためできた震生湖。小さい湖ではあるが野趣満点でハイカーや釣り人で賑わう。もう少し涼しくなると紅葉が見頃になりそうだ。丘陵を落ち葉を踏みしめながら歩くのも楽しいだろう。

湖から稜線に出る。ここからは富士方面に尾根伝いだ。左手には相模湾に浮かぶ大島を、右手には塔ノ岳や鍋割山を見ながら進む。途中にある牛舎でウシを撮影しようと思っていたが、この日は一頭しかおらず表に出てきてくれなかったので断念した。

未舗装路が終わると丘陵のハイキングコースも終了だ。盆地に拡がる街からは落ち葉焚きの煙が立ち上る。秋の眺めだ。もう本当に夏が終わったのだ、と再認識した。そういえばこのカットを撮ったあとに、舗装路を街に下っていく途中で流れた午後五時を知らせる曲のタイトルが思い出せない。原稿を書いている今もである。

渋沢駅に着いた。ここのホームからは富士がよく見える。SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artで、踏切越しにそびえるその姿をSIGMA sd Quattroに収めた。次のブラブラはもっと気温が下がって、日が短くなっているに違いない。これからの季節は明るく高性能なレンズが欠かせない。先ごろ発表された新しいレンズ群を持ってブラブラするのが今から楽しみである。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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