シグブラ
第87回:残暑厳しい舞鶴ブラブラ

残暑厳しい舞鶴ブラブラ

August 31, 2016

あてもなく羽田空港から飛行機に乗って、伊丹空港に降り立った。朝一の便だったので空港内のカフェで朝食をとりながらどこに行こうか考える。サンドイッチを食べながらiPad Proの地図アプリを見ていると「舞鶴」という文字が目に飛び込んできた。そういえば訪れたことがないな、とすかさずルートを検索して、一番早く移動できそうな福知山行きの高速バスに乗り込んだ。

福知山からはJR線で移動だ。夏休み期間中だがお盆も過ぎているので観光客もさほど多くない。空いている車両に小一時間ほど揺られていると東舞鶴駅に到着した。ここからは徒歩で海方面に向かう。岸壁の母で有名な舞鶴は軍港でもある。通りには日露戦争当時の軍艦の名前が付けられており、それを眺めながら歩いていると赤れんが倉庫が建ち並ぶ公園に到着した。空の青とのコントラストが眩しい。

しかし関西は暑い。関東のそれとは次元が違う。太陽がより近いような気がするほどだ。履いているトレランシューズのソール越しにアスファルトの熱さがジンジンと伝わってくる。赤れんが倉庫も日光で焼かれているかのようだ。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | ArtをSIGMA sd Quattroに装着して、開け放たれている窓とその影を撮影した。

岸壁に出た。海辺に立つと涼しく爽やかな風が抜けていく。とても気持ちがいい。眼の前に停泊している掃海艇やイージス艦を眺めながらより多くの艦艇が停泊している桟橋へ。

様々な船を撮影した後は路線バスに乗って西舞鶴に向かう。駅でレンタサイクルを借りて(今回は電動アシストなしだ)、アーケード街を抜けて漁村を訪ねた。運河というか水路に船がみっちりと並んでいる。その様子にSIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artを向けてシャッターを切った。そして狭い路地を自転車で周りながら、生活と海が密接な暮らしぶりを撮り続ける。

漁港では中型の漁船が係留されていた。これから出漁するのだろうか、男が黙々と船の整備をしている。あとは釣り人が数名いるだけだ。蝉の声が響き、夜の漁で使用するライトが風に吹かれて揺れた。

レンタサイクルに再び跨がって路地から路地へ、港から港へとブラブラ撮影する。走っていると風で涼しいが、停車したとたん汗が噴き出してくる。喉が渇いた。ようやく自動販売機を見つけてスポーツドリンクを買って飲み干すが、1本では全然乾きが収まらない。でもこの暑さを味わえるのもあと僅か。夏は確実に終焉へと向かっているのだ。

日が傾いてやや涼しくなってきたので西舞鶴駅に向かう。途中朽ちかけている列車を発見し「これはFoveon物件!」とばかりSIGMA sd Quattroを向ける。ガラスも割れているし錆もかなり浮いている。「なんでこんな状態なのだろう」と思いながら今日の宿を取っていないことに気がついた。カメラをバックパックにしまって、天橋立に行こうか駅前から高速バスで神戸に出ようかと考えながら、ブラブラと駅に向かった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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