シグブラ
第85回:青春18きっぷで和歌山ブラブラ

青春18きっぷで和歌山ブラブラ

July 27, 2016

夏なんてまだだいぶ先だよな、と思っていたらいきなりの盛夏である。とにかく暑い。気持ちと体感気温の差が激しい。これを解消するにはより暑い場所へ旅をするしかない。というわけでSIGMA sd Quattroとレンズを3本抱え、空路を経て紀伊半島を南下する鉄道に乗り込んだ。

関西国際空港からJRに乗り込んで、改札で横長のきっぷに日付の入ったスタンプを押してもらう。この夏の青春18きっぷシーズン第一歩だ。海に浮かぶ空港から列車は走り出し、右手に海を見ながら半島を下っていく。いつもどおりどこに行くかは事前に決めず、車窓からの景色や雰囲気をみて下車するスタイルである。乗り換えを数回繰り返し、ここだと思う駅で列車を降りると、強烈な日射しと蝉の声に迎えられた。

駅前から路地に入ると、昔懐かしく何とも言えないいい雰囲気の街並みが続いていた。SIGMA sd QuattroにSIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSMを装着してブラブラ開始だ。このレンズとの組み合わせは一部制限があるが、マニュアルフォーカスや絞り込んで撮影することで、問題なく使用できた。クロネコを発見して構っていると、向かいの家から出てきた男児が「名前はクロって言うんだよ」と教えてくれた。

路地を何本も歩き回り神社に着いた。明日からお祭りということで、境内ではその準備が行われている。その様子を撮影させてもらうが、もう汗だくである。東京の暑さとは日射しのパワーが違う。クラクラしそうになるが、それが気持ちいいくらいである。

お祭りはこの地方最大とも言われるそうで、流鏑馬や山車などで盛り上がり、それは素晴らしいもののようである。境内には大きな馬の像が奉られていて、流鏑馬が行われる鳥居前の未舗装路を見つめていた。SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artでその眼差しを切り取る。

御輿も美しく立派なもので、その鏡部分にフォーカスしてシャッターを切る。しばらく滞在してこれが舞う姿を見てみたい気もするが、歩を進めて海の方へ向かうことにした。ブラブラ旅は一期一会が基本なのだ。

海水浴場はのんびりとしている。東京近郊の殺人的な混み具合や喧噪とはかけ離れていて、とてもいい雰囲気だ。ときおり家族連れの歓声があがるくらいで、風と波の音が耳に優しい。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artに付けかえてシャッターを切る。防波堤に登って、しばし海風に吹かれることにしよう。

少しの間ボケッとしたあとは、再び街中ブラブラだ。途中、南方熊楠の資料館を発見して立ち寄る。庭にそびえるクスノキにたくさんの蝉が止まって合唱していた。その音量に圧倒される。彼が過ごした家も保存されており、興味深くその研究と暮らしぶりを感じた。

川沿いに出た。ここも祭りの準備が行われている。赤い提灯が風に揺れていた。いつかまたブラブラと訪れた時に盛大な祭りを見たいものだ。日が傾きはじめ、ややしのぎやすい気温になってきたのを感じる。F値が明るいレンズなのでSIGMA sd Quattroでもまだまだ撮影できそうだ。もう少しブラブラしてから駅に向かうことにしよう。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク
Page Top