シグブラ
第69回:曇天の公園ブラブラ

曇天の公園ブラブラ

November 26, 2015

気がつくと、いつの間にかすっかり冬になっていた。木々の葉は赤くなる前に落ちて、足元で風に揺れてカサカサと音を立てている。空はどんよりとしていて少し気乗りしないが、SIGMA dp2 Quattroをバッグに入れてブラブラと撮影に出かけることにした。

チケットを買って大きな公園に入る。ここは駅から近く日本庭園もあるため、観光客や海外からの旅行者でそこそこ賑わっている。そんな人たちを避けるように静かで落ち葉の感触を楽しめるエリアを歩く。柔らかで若干湿り気を帯びたふかふか感がいい。

気分を変えるため、SIGMA dp2 Quattroのアスペクト比を21:9のワイドにして撮り歩く。これがなかなか面白い。30ミリ(35ミリ換算約45ミリ)という焦点距離は変わらないのだが、LVF-01をのぞき込むと、映画のスクリーンのように眼の前の光景が広々と展開される。

視界が横長になるだけでとても新鮮な感じがした。16:9ではなく21:9の方が面白い。これは前夜にネットでオンデマンドの映画を延々と見続けたせいもあるだろう。フレーミングに気を遣ってシャッターを切り続ける。

しかし本当に寒くなったものだ。夏の猛暑のイメージをいつまでも引きずって、ふと気がついたら秋が通り過ぎて冬の入り口に立っている感じだ。ここ数年、寒暖の差が極端になって春と秋が短くなっているのではないか。

この公園はカメラを持った人が多い。その機種やどんな交換レンズかを見ているのも結構楽しいのだ。シグマのレンズを使っている人を発見するとなんだか嬉しくなる。そういえば結構あちこち歩いたのでお腹が空いてきた。池を見るとコイもどうやら空腹のようだった。

この季節はのんびりとブラブラ撮影していられない。日が短いからだ。鬱蒼とした木々の間を歩いたりすればなおさらである。身体も冷えてきたので、次のブラブラをどこにしようか、駅ナカにあるいつもの店で赤ワインでも引っかけながら考えよう。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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