シグブラ
第67回:秋の崖線ブラブラ

秋の崖線ブラブラ

October 28, 2015

いつの間にか秋がやってきた。朝晩は涼しいというか寒いくらいである。空気が澄んできて写真撮影にはいいが、日中の明るい時間が短くなってくるのは困りものだ。そんな晴天の休日にSIGMA dp3 Quattroを持って近所をブラブラと撮影散策した。

国道246号線に面したレストランでブランチを摂ってから歩き出す。用水路沿いに邸宅や高級マンションを眺めながら進むと、玄関先やベランダを演出する洒落たオブジェなどを発見できた。

国分寺崖線に沿ったこのエリアは湧水も多く、動植物の種類も豊富だ。最近は大規模な開発が増え、それも徐々に少なくなってきているようだ。空き地ができたな、と思ったら見るからに高そうな老人ホームが完成した。

開発されなかった公園や美術館は色濃く緑が残されている。一歩足を踏み入れると、武蔵野の面影がうっすらとだが漂っているのを感じることができた。

崖線をゆっくりと登っていく。足元には色づいた枯れ葉が数枚。これからどんどんと冷え込むと、美しい紅葉と落ち葉の絨毯が見られるに違いない。

台地の上に立つ邸宅にお邪魔する。室内に入ると風の影響がなくなるので太陽の光がとても暖かく感じた。ここは歴史的建造物として公開されている館なのだが、木々が葉を落とすと多摩川の向こうの丹沢から頭を出す富士の姿を見ることも可能だ。

畳に座り込むと微睡んでしまいそうなほどの暖かさだ。畳の匂いと感触が懐かしい。窓の外は木枯らし一号が枝を揺らす。

邸宅を出て台地の中腹にある隠れ家カフェに向かった。庭が見える席に腰掛けて、日が傾きつつある外を眺める。向かいの女子高ではハロウィンのイベントをやっているようで、仮装した多くの人で賑わっていた。

コーヒーで暖まったあとは、崖線下にある古民家を訪れた。十三夜のお供えや囲炉裏、土間などをのんびりと撮影しながら「遠くもいいけど近場のブラブラもいいものだなあ」と考えた。徐々に冷たくなってきた空気と、LVF-01越しに見る露出表示を見て、日没が急速に近づいてきたのを知る。手ブレに気をつけてシャッターを切りながら、今日はワインを飲んで帰ろうと思ったのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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