シグブラ
第56回:黄金週間は海沿いブラブラ

黄金週間は海沿いブラブラ

May 13, 2015

何も予定がないゴールデンウィークの晴れた日。ふと思い立って三浦半島をブラブラしに行くことにした。ここは京浜急行でアクセスもしやすく、とても風光明媚だからだ。海と緑を味わおうと友人と赤い列車に乗り込んだ。

終点・三崎口駅で下車すると、駅前は多くの人でごった返していた。三崎港行きのバス待ち客だ。きっと美味しいマグロが目当てに違いない。我々はそんな予算もないので駅前の道を小網代の森に向かって歩くのだ。20分ほど歩くと奇跡的に残った森の入り口に到着だ。最近整備されたしっかりとしたボードウォークに足を踏み入れる。藤の花と鳥の囀りが迎えてくれた。

森を散策する。川の源流から河口の干潟まで、開発されずにまるまる残された環境は首都圏ではここ小網代の森だけであるという。その短い川にはトンボが飛び、カニが歩いている。名物・アカテガニだろうか。夏の大潮の晩は、陸地に住むこのカニが一斉に海を目指して子を放つ光景が見られる。一度生で目撃したいものだ。

小網代の干潟を見たあと、宮ノ前峠を越えて油壺側に出る。湾はとても静かで、透き通った水の中を泳ぐ魚がよく見えた。

湾に面する神社には大きな貝が鎮座していた。小網代の森を散策した人々が、そこで手を清めたあと参拝をしている。日射しはまるで夏だが、木陰はヒンヤリとした風が抜けて行き心地よい。

その先にあるマリーナには色とりどりの船が停泊していた。陸に上がった船体を興味深く見学する。いろいろなタイプがあるんですねえ。

昼食を終えマリーナをあとにした。ここからはしばらく磯をブラブラと撮り歩く。目の前に拡がる光景は完全に夏である。

幾つもの湾と漁港を越えて三崎の街へと到達した。表通りはまだ観光客が多かったが、裏通りはとても静か。軒先の漁具が風に揺れている。

日が落ちると急に冷え込んできた。そろそろ帰りのバスに乗ろうと停留所に行ってみると長蛇の列であった。これでは当分乗れそうもない。時間を潰すために、仕方なく予定外のマグロを食べることとなった。次回は夏にブラブラしに来よう、と思いながら切り身を口に放り込んだ。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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