シグブラ
第16回:残暑のシーサイドラインをブラブラ

残暑のシーサイドラインをブラブラ

September 13, 2013

新交通システムに乗って海沿いに来た。辺りにはマリーナやアウトレットモールが建ち並ぶ。日は短くなったがまだ気温は高く、少し歩くと汗が噴き出してくる。ただ時折り海から吹く風が気持ちよい。汗がスーッと引いていくのがわかる。今回は SD1 Merrill に35ミリ1本だけで、横浜と横須賀の狭間をブラブラと歩いてみた。

家族連れで賑わうアウトレットモールを散歩する。どの店もカラフルで魅力的な商品がズラリと並んでいて、大勢の客がそれを買い求めている。景気が回復している、という証拠だろうか。自分もトレイルランニングシューズの出物を発見したので買い求めた。箱は処分してもらい、バックパックにシューズをねじ込む。交換レンズを入れるスペースにスッポリとトレランシューズが収まった。アウトレットモールを出ると白いクルーザーがマリーナに入港するところであった。

湾岸道路沿いのグラウンドでは少年たちが野球の練習に精を出している。黙々とコーチからトスされた球を打ち込んでいく。快音が埋立て地に木霊し、高く上がった球が野手のグラブに吸い込まれた。

水族館と遊園地を越え野島公園に辿り着いた。こんもりとした森にある展望台と、旧伊藤博文金沢別邸がここの見どころだ。美しく復元された別邸は海からの風が心地よく、縁側でつい長居をしてしまう。

別邸内の和室にいると、ここがどこかも忘れてしまう。行き交う船が立てる波の音と、対岸にある遊園地のジェットコースターの音だけが聞こえる。なんとも落ち着く空間だ。

野島公園に戻る。だいぶ日が傾き、影が長くなってきた。太陽の力が急速に衰えてきたのを体感する。少し海風が吹くだけで、かなり涼しく感じるようになった。

バーベキューを楽しむ若者たちの団体を横目に展望台に向かう。途中鎮守稲荷神社に立ち寄った。社に向かう石段の両脇にはズラリと狐の像が並ぶ。どの顔も鋭い視線を参拝者に投げかけている。

海抜64メートルの展望台に登ると、足元の野島公園から横浜、千葉、丹沢方面を一望できた。隣にある自動車メーカーのテストコースも丸見えだ。日没が近づき、多くの船が港に帰ってくるのが連なって見える。てっぺんではカップルが楽しそうに「ねえ、次の休みはどこに行こうか」と話している。それを聞いて「次はどこをブラブラしようかな」と一人で考えた。今度は山かなあ。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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