シグブラ
第6回:爆弾低気圧一過の川崎・多摩川ブラブラ

爆弾低気圧一過の川崎・多摩川ブラブラ

April 12, 2013

酷い雨と風だった。「爆弾低気圧」の夜はまるで秋の台風直撃を思わせた。翌日は風が強いもののスカッと晴れ渡り、フォトウォーク日和となった。昼頃に自宅のある世田谷を出て、川崎で行われている奇祭を見学。あまりの混雑に水辺・多摩川右岸に向かった。

奇祭の行われていた川崎大師近くの神社は大賑わい。珍しもの見たさの外国人が多く、ウィークエンドに海外リゾートの繁華街にいるかのような感じだった。皆アルコールが入ってエンジョイ(エキサイト?)していて楽しんでいた。神社から歩いて10分ほどの多摩川はとても静かで、京急大師線の通る音と爆弾低気圧の名残風の音が聞こえるだけだ。

この辺りは住宅地と工業地帯のミックスゾーンのような感じで、重機や残土置き場、新築の高層マンションのコントラストがアンバランスで面白い。空は深く青く、風がなければ眠ってしまいそうなほどの心地よい暖かい空気が充満している。

土手を上って東京方面の多摩川左岸を眺める。どうやら北の方は雲が発生して、おどろおどろしい空模様になっている。iPhoneでリアルタイム天気概況をチェックすると、雷雨になっているところもあるようだった。

この場所には堂々とした水門がある。「川崎河港水門」だ。1928年に竣工したこの水門は、川崎運河の入り口となる予定だったが、計画が中止されてしまい、埋め立てられた運河の遺構ともいえる存在となっている。今は内側にわずかな水域を保つだけの悲しい水門だ。その上部には川崎市の名産品である果物の意匠が施されている。時折カメラを持った人が撮影していく人気スポットでもある。

風向きが一定でなくなりその力を増し、雲がこちら方面にまで押し寄せてきた。土手下では警戒中の警察官がひとり。「お祭りで大変ですね」と声をかけると、話しかけられると思っていなかったようで、少し驚いた感じで「ええ・・・」と返された。

土手の上を川崎駅方面に向けて歩く。多摩川を遡っていく感じだ。雲は頭上に近く拡がり、夏の雲を思わせる発達具合を見せた。そういえばいつの間にか日も延び、写真を撮れる時間もグンと長くなってきた。このまま暖かくなるといいなあと思いながら、次のブラブラ候補地に思いを馳せた。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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