押本龍一－私の出会う光景－第175回：春のアンテロープ・バレーへ

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

フリーウエイから下りると山の斜面にルピナスが咲いていた。太陽が西の山に隠れるまであまり時間は残されていなかったので、急斜面を必至に登ってルピナスに近づき撮影した。

日本から戻った翌日、ワイルドフラワーが咲くアンテロープ・バレーへ出かけた。ロサンゼルスからフリーウエイ15号を北上し、州道14号に乗り換えランカスターへ向け北上する。州道14号線の南の部分はアンテロープ・バレー・フリーウエイと呼ばれ、しばらく走ると景色は平坦なバレーになる。広大なアンテロープ・バレーには何度か来ていて毎回州道14号を下りて西へ移動したが、今回は東へ向かった。以前から気になっていたサドルバック･ビュート･ステート･パークとその北のビュートバレー・ワイルドフラワーサンクチュアリーを見るためだった。

サドルバック･ビュート･ステート･パーク入り口付近に見かけた廃虚。

ステート･パークに入ると小さな岩山があり、ちょっと登って見たくなる高さだった。

パークの北端に位置する岩山からサドルバック･ビュート･ステート･パークの全景を見渡す。期待したワイルドフラワーはこの日あまり見なかった。

パークに生息するジョシュアツリーの影に隠れ、パーク名の由来である標高1,113mのサドルバック･ビュートを見る。

サドルバック･ビュート･ステート･パークの乾燥した地面には、赤い蟻が忙しく動き回っている。

サドルバック･ビュート･ステート･パーク北のビュートバレー・ワイルドフラワーサンクチュアリーのサイン。

ビュートバレー・ワイルドフラワーサンクチュアリーに来ると、黄色いゴールドフィールドが一面に咲いていた。絞りを開け、背景のジョシュアツリーを思い切りぼかしてみた。

大口径望遠マクロレンズで、一つのゴールドフィールドにフォーカスした。

ゴールドフィールド群の中に小さなルピナスを見つけた。

サドルバック･ビュート･ステート･パークとビュートバレー・ワイルドフラワーサンクチュアリーでは、目当てだったポピーの花はこの日見なかった。私は州道14号を越え西へ移動した。日曜日のこの日、ポピーの保護地区に近づくと車の数が急に増え、保護地区の駐車場に入れない車の列が道にできていた。去年同様、私は保護地区手前でエリザベス湖へ向かうマンズランチ・ロードを南下した。去年、ポピーが一面に咲いたエリザベス湖周辺の丘にポピーの花は全くなく、その手前の丘にポピーがいい感じに咲いていた。

ポピーの保護地区に近づくとポピーとゴールドフィールドが咲き、人々は花と一緒に踊っていた。

マンズランチ・ロード沿いの丘一面に咲くポピー。

去年は見なかったポピーフィールド・ランチにポピーが咲いていた。

去年ポピーが咲いていたら良かったのにと思った場所に今年は咲いていてくれた。

風でとても激しく揺れるポピーを捉える。

マンズランチ・ロード沿いでポピーを撮ると、パインキャニオン・ロードを西へ走った。車がほとんど走らない山道はドライブを楽しむにはいい道だった。州道138号に入りフリーウエイ5号線を南下して家路についた。

パインキャニオン・ロード沿いの家の軒先に見かけた古い給油機。セピア調が似合う光景だった。

私が行く先々で出会うパシフィック・クレスト・トレイル。パインキャニオン・ロード越しにもサインが立っている。

パシフィック・クレスト・トレイルを少し歩いた。

山火事で枯れたオークツリーが不思議な存在感を持っていた光景はモノクロームにしてみた。

この周辺はハンティングが盛んなようだ。

遅い午後の光にシルエットになった馬とオークツリー。

山を抜けると枯れた草原が広がり、冷たい北風が吹き抜けていた。

フリーウエイ5号線を50kmほど南下した辺りで時差ボケのため睡魔に襲われ、フリーウエイを下りた。そこは意図したわけではなかったが、以前から気になっていたタウズリー・キャニオン・パークの入口付近だった。パークの駐車場に車を停めると、そこから見える山の斜面にルピナスが咲いていた。私はカメラバックを背負って急斜面を登り、ルピナスに近づいて写真を撮った。

西に沈む太陽光で美しいルピナス群。

超広角ズームでルピナス群を大きく撮りこんだ。

大口径望遠マクロレンズで、陽を失う寸前のルピナスを撮る。

睡魔に襲われ休憩を取るために立ち寄ったタウズリー・キャニオン・パークでは、急斜面を登りルピナス群を3本のレンズで撮影し、同じ光景でも使用するレンズによってアプローチも写りも随分と変わるものだと再確認した。撮影を終え車に戻ると眠気は何処かに吹っ飛んでいて、帰りのドライブは快適だった。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ（X3F）を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。