第111回:夏のビック・パイン・クリーク(Big Pine Creek)へ
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第111回:サンシメオン(San Simeon)の夏(前編)

人々がコンコンと音を立て、海岸線に敷かれたムーンストーンビーチ・ボードウォーク(Moonstone Beach Boardwalk)を歩く。サンフランシスコとロサンゼルスのほぼ中間地点に位置する海岸は、さわやかな風が吹き、夏のバケーションを過ごすには最適な場所だった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:18mm

7月下旬、暑さから逃れて海岸線にあるサンシメオン州立公園へ向った。ロサンゼルスから国道101号線を西北西へ走って行くと海岸線に出る。真夏なのに窓を開けていれば冷房無しでも心地よいドライブがしばらく続く。国道101号線が海岸から離れ北上して内陸に入って行くと、穏やかな丘陵地帯になり、大きな農場や牧場を目にするようになる。内陸といっても海岸からさほど離れていないので暑さは気にならず、真夏とは思えない快適なドライブが相変わらず続く。

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スペイン風の建物が特徴の美しい街サンタバーバラを超え、内陸に入る直前のガヴィオータ(Gaviota)でサンタバーバラ海峡を眺める。モーターボートが白波を立てて海面を走り、遠くには石油プラットフォームが、さらにその先にはチャネル諸島が霞んで見える。

使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 x 3616 | ファイルサイズ:19.34.83MB

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内陸に入るとブドウ畑が広がっていた。大口径中望遠レンズで、畑の中に立っている目に付いた1本の樫の木にフォーカスする。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:85mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.23MB

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白いビニールハウスが丘陵地帯に連なる光景の一部を、高倍率超望遠ズームレンズで切りとる。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:332mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.74MB

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サンシメオン州立公園の手前で見かけた大きな納屋。セピア色が似合う光景だった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.80MB

内陸に入って丘陵地帯と平地を北上し再び海岸線に出て少し走るとすぐに海岸線を離れ、サンルイス オビスポ(San Luis Obispo)で、北上する国道101号線を降りて西へ走り海岸線に出て北上する。サンフランシスコとロサンゼルスの中間地点に位置するサンシメオン州立公園に到着すると、そのままキャンプ場に向かった。公園内には二つのキャンプ場があり、ひとつは海岸に近く、もうひとつは海岸から1.5㎞ほど離れた丘陵にあった。私は強い海風を避けて海岸から離れたキャンプ場を選び、高さはないが、枝が四方八方に伸びた松の木の下にテントを張った。テントを張り終えるとすぐに海岸線を南に戻り、この辺りを訪れる人々を魅了する約2.3kmのボードウォークを少しだけ歩いた。キャンプ場に戻ると、周囲の草原は夕方の陽光に染まりはじめていた。私はキャンプ場周辺のトレイルを愛犬としばらく歩き、夕陽に染まった草原で日没を迎えた。

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ムーンストーンビーチ・ボードウォークを歩くために、この地を訪れる人も多い。強い日差しの下でも朝夕は汗をかかず、じっとしていると肌寒い。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/2000 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:112mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.95MB

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キャンプ場周辺のトレイルを沈んでゆく太陽に向って愛犬と歩く。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:19mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:12.17MB

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丘陵にあるキャンプ場から海岸線を眺める。雲が邪魔をして水平線に沈む太陽は見られなかったが、美しい日没のドラマを目撃することはできた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:200mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:3.78MB

テントを張り終えた時には海風が吹きテントは大きく揺れたが、夕方にはほとんど風がなくなり夕食の支度も楽で、その夜は秋のような気候にぐっすりと眠った。翌朝、まだ暗いうちからキャンプ場周辺のトレイルを歩きはじめ日の出を迎えた後、朝食を取り海岸沿いに出た。海岸線のトレイルで会った地元の男性が指を差す方向を見ると、馬が走っているのが見える。男性はシマウマだと教えてくれ、近づくと確かにシマウマが草原を自由に走っていた。夏休みなので人も多く今回の旅では立ち寄らなかったが、ウィリアム•ランドルフ•ハースト(William Randolph Hearst)という富豪が所有した城は、海岸から少し入った丘陵に建っている。ハーストは所有する土地に、ライオン、トラ、クマ、バイソン、エルク、シマウマ、象等の野生動物を放し飼いにした。ハーストの他界後、ほとんどの動物は各地の動物園へ送られたが、いくつかの動物は自由に歩き回るように残され、シマウマもその名残である。

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海岸線の夏の朝は曇ることが多いが、この朝は雲がほとんどなく、気持ちのいい日の出を迎えた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:10mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.44MB

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苔が生えた木のベンチに朝陽が差し込む。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:31mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:15.99MB

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清々しい空気が染み渡る朝の海岸線。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:157mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.87MB

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海岸線の草原をシマウマが走る。大口径望遠ズームレンズで捉えた画像にはシマウマに付きまとう小さな鳥が写っていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:200mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:12.18MB

シマウマを見た後海岸線を北上し、最初にサンシメオンのタウン跡であるWRハースト・メモリアル・ステートビーチに立ち寄った。夏の午前は霧が出る日が多いが、この日は文句のつけようのない快晴で、潮の香り漂う桟橋を歩くと身も心も軽くなる思いがした。ステート・ビーチから少し北(正確には西北西)に行くとゾウアザラシの群れを見られるポイントがある。何度も見ているゾウアザラシだったが、見物する大勢の人に誘われて私も立ち寄ってみた。何年前までだったか忘れたが、以前はビーチに下りてゾウアザラシの側まで行けたが、今ではフェンスが張られて近づくことができない。1990年にはこの辺りのゾウアザラシは24頭にも満たなかったが、その翌年には440頭が確認され今日では17,000頭まで増えている。

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空と海は青く、空気は澄み渡っていた。大口径標準ズームレンズで、爽やかな海岸の夏の日を気持ちよく切り取った。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:34mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.12MB

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桟橋から海面を覗きこむと穏やかな海面に海藻が浮んでいた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:19mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.05MB

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桟橋の先端には、幸せなそうな親子と犬がいた。犬は禁止とのサインがあったが、とがめる人はいない。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:25mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.39MB

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沢山のゾウアザラシが見られる事で有名なポイントには、この日大勢の見物人が集まっていた。

使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 x 3616 | ファイルサイズ:20.96MB

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生涯の8割を海中や海上で過ごすゾウアザラシが、3月中旬から9月中旬頃、繁殖地であるこの辺りの海岸に1ヶ月ほど滞在し脱皮する。その間、食物も水も一切取らずほとんど動かないが、若い雄同士はじゃれ合う。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:200mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:14.36MB

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ゾウアザラシを見物する大勢の人相手に、頭に白いウサギを乗せて歌う人も現れた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:157mm ( 35mm換算 : 235mm)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.69MB

海岸線を北上するといってもほぼ南に面している海岸線もあり、太陽の位置からすると西へ進んでいるように感じた区間もあったが、パシフィック・コーストハイウェイを確実に北上して行き、海岸線をくねくねと上ってラッグド・ポイント(Ragged Point)と呼ばれる海岸線が見渡せる絶景ポイントまで北上した。北から崖沿いのパシフィック・コーストハイウェイを南下して来ると、平らな海岸線に出る最後の崖沿いといった感じのラッグド・ポイントには宿とレストランが完備され、ここを通過する多くの車が休憩を取る。私も愛犬と休憩した後、それ以上北には行かずに南へ引き返した。

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海岸線を上り、振り返るように南の方を見る。

使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 x 3616 | ファイルサイズ:11.01MB

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ラッグド・ポイントから北の方を見る。

使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 x 5424 | ファイルサイズ:22.68MB

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周囲に風を避けるものが何もない海岸線に建つモーテル。もう何年も閉まっているようだが、再オープンすることがあれば是非泊まってみたいロケーションだ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:10.46MB

海岸線を南へ走ると、何かに引っ張られて海面を進む人の姿が遠くに見えた。モーターボートに引かれた水上スキーかと思ったが、モーターボートがどこにも見えない。海岸に近づいてみると大きな凧のようなものが浮んでいる。数年前までウインドサーフィンをよく見かけたこの場所は、かなりのスピードで海面を進むカイトサーフィン(kitesurfing)の人気スポットになっているようだった。

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かなりのスピードで海面を進み方向を自由に変えていたカイトサーフィン。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:157mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:11.74MB

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チームを組んでいくつかの凧とボードを試めすサーファーが海から戻ってきた。相当の上級者だと素人の私でもすぐに分った。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:85mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.72MB

青い空に青い海、そしてさわやかな風。じっとしていると少し肌寒く感じる海岸にいると真夏であることを忘れてしまう。もう一晩この海岸線に泊まり先を急ぐ必要のない私は、カイトサーフィンをいつまでも眺めていた。(後編に続く)

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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