第105回:秋田と青森の県境付近の日本海沿いを散策
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第105回:秋田と青森の県境付近の日本海沿いを散策

秋田県南秋田郡に所在する大潟村の空を鯉のぼりが泳ぐ。かつて琵琶湖に次ぎ、日本で2番目に大きな湖沼であった八郎潟を干拓した土地には、桜と菜の花が咲き、埋め立てられた土地というイメージはなかった。私は、干拓した土地だとは知らずに大潟村を歩き回り、大口径標準ズームレンズを鯉のぼりに向けた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:26 mm

5月初旬、生まれてはじめて訪れた秋田県は雨が時より降り、どんよりとした雲に覆われていた。能代市にある古い建物の民宿に到着すると、すでに夕食はテーブルに並べられていた。弁当屋も兼ねる民宿の夕食は、品数があり量もあったが、腹ペコだったので小食の私にしては珍しくほとんど平らげた。翌朝目を覚ますと、雨は上がり陽も差していた。朝食後、民宿で働く女性が勧める桜と菜の花が同時に見られ、宿から車で30分ほど南下した大潟村の「桜・菜の花ロード」と呼ばれる県道298号を走ってみた。大潟村には県道沿以外にも菜の花が見られ、大きな菜の花畑の上には鯉のぼりが泳いでいた。

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満開の桜と菜の花が見られるが、桜は散り始めているように見え、黄色い菜の花の方が印象深かった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:180 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:13.57 MB

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菜の花畑の上に張られたワイヤーに吊られた鯉のぼりが風に舞う。すべての鯉のぼりを写さず、菜の花越しに見える鯉のぼりにフォーカスした。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:26 mm (18-35)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.90 MB

大潟村からはいったん民宿に戻った後、世界遺産に登録されている白神山地の西部に位置する十二湖(じゅうにこ)を目指し、日本海岸沿いを走る国道101号を北上した。秋田県能代市の東能代駅と青森県南津軽郡田舎館村の川部駅間(147.2km)を結ぶ五能線の十二湖駅手前で、県道280号を東へ走り山岳地帯に入る。江戸時代に発生した大地震による山崩れによりできたといわれる湖沼群は、実際には33個の湖沼があるが、崩山(くずれやま)から眺めると12湖の湖沼に見えたことが由来とされている。白神山地に足を踏み入れると、太陽は雲に隠れ、いつ雨が降り出してもおかしくない空になってきたので、私は最も人気のある青いインクを流したような色といわれる青池(あおいけ)と数個の湖沼を見て、十二湖を後にした。

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秋田青森の県境付近の海岸線で、山菜を採る地元の人を数人見かけた。「みょうさく」という山菜で、塩漬けにして食べると、路肩を歩いてきた女性が教えてくれた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:23 mm (18-35)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:19.43 MB

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湖沼群はブナ林に囲まれている。その林の中に溶け込んでいる木の鳥居と祠は神秘的で、近寄り難かった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 50mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:50 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:15.46 MB

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周囲の落ち葉に溶け込んで、なかなか気がつかなかった蛙。APS-C用大口径標準ズームレンズでシャープに写しだす。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:45 mm (17-70)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:15.41 MB

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青いインクを流したような色といわれる青池。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.0 | 焦点距離:50 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:11.59 MB

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白神山地の世界遺産登録理由は、「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」とされ、森林浴の癒し効果が認められているブナ林にいるだけで浄化される気になる。

使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:19 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:19.00 MB

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幾つか見かけた植物の中でエンレイソウが目を引いた。湖沼群を囲むブナ林は自然の宝庫だ。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:10.96 MB

民宿のオーナーが、「十二湖はいいとこだよ。でも今日は午後から雨だよ」と言った通り、雨が時より降る日本海岸線を秋田県に引き返した。海岸線は変化に富み、天気がよければ長居をしたい場所がいくつもあったが、数箇所に立ち止っただけで南下する。

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晴天の日にもう一度見てみたいと思った日本海と田んぼがある風景。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:11.72 MB

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幾つかの港があったが、人影はほとんど見なかった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/8秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.53 MB

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雨が降り風も強い漁港には、海鳥の姿しかなかった。この先は地元の人しか受け入れられない土地に思え、ここで立ち止った。

使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/80秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:19 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:10.37 MB

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東日本旅客鉄道(JR東日本)五能線の滝ノ間駅。無人駅のホームには、近くの桜から散った花びらが舞い降りていた。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/100秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:50 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:10.93 MB

宿泊する民宿を通り過ぎ、八郎潟の西を走り男鹿市(おがし)まで南下し、それから北へ引き返して能代港に出る。日本海からの強い風が吹きつけ、冷え込んでいた港からは、水平線に沈む太陽が鮮やかに見えた。

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八郎潟の西を通り、男鹿半島(おがはんとう)の北の根元まで来ると、人気の感じない海岸線に出る。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:20 mm (18-35)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:5.59 MB

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道幅の狭い国道101を走って行くと、一日1本のバス停に雲が切れて陽が差した。

使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:19 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.37 MB

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海風を感じる集落で見かけた鳥居。赤い塗装がほとんど落ち、風になびく白い紙垂(しで)は生き物のように感じ、存在感は鳥居以上だった。

使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:19 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:8.87 MB

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能代港の夕陽。巨大な風力風車の側には行きたくないが、風の強いこの辺りの風力発電は今後伸びそうだ。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:8 mm (8-16)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:7.08 MB

翌日は朝から快晴だった。民宿の南にある浅内沼で朝陽を浴び、海岸に面した幅1km、総延長14km、面積約760haに広がるクロマツの防風林である「風の松原」を歩き、能代港周辺を散策した後、日本で2番目に大きかった湖を干拓して造った大潟村を通り秋田を後にした。

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日本海のすぐ側に位置する浅内沼の朝、小さなボートが湖岸に浮いていた。バス釣り好きの人には知られている湖だそうだが、この朝、釣人の姿はなかった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:14.69 MB

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日本海からの強風、飛砂、津波からこの地域を守るクロマツの防風林。江戸時代のはじめ、冬の季節風により、海岸から砂が飛んできて農地などに大きな被害が出た。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 18-35mm F1.8 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/15秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:20 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:15.73 MB

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能代港のセメント工場の建物に朝陽が当り、風力風車が向こうに見える。

使用機材:SIGMA DP2 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/60秒 | 絞り値:F16.0 | 焦点距離:30 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:9.43 MB

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能代港周辺にいくつかの木材が積まれていた。木材の香りが漂う光景を、朝の空気感と共に切りとる。

使用機材:SIGMA DP3 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 x 3136 | ファイルサイズ:15.27 MB

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能代港付近で、前日も見かけた2匹の白い犬。秋田県能代の最後の写真。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO 50-150mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:150 mm (50-150)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 x 4704 | ファイルサイズ:12.90 MB

大潟村の公式ページに「20年におよぶ歳月と総事業費約852億円の巨費を投じた世紀の大事業は、1977年(昭和52年)3月に完了し、八郎潟の湖底は1万7,203haの新生の大地に生まれ変わりました」とある。八郎潟の名前の由来とされ、人から龍へ姿を変えられた八郎太郎という名の龍が、湖に住んでいるという伝説があるそうだが、八郎太郎という龍はいまどこにいるのだろうか。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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